「物価の優等生」鶏卵の高騰続く 外食店やメーカー打撃 生産が元に戻るのは1年以上か…

9日の卵売り場。1パック300円以上が目立った=長崎市、ジョイフルサン新大工町ファンスクエア店

 店頭価格の変動が少なく「物価の優等生」と呼ばれる鶏卵の高騰が続いている。ウクライナ危機などに伴う飼料コスト増に、鳥インフルエンザ流行による供給不足が重なり、大手コンビニが卵使用商品を一部販売休止にするなど全国的に影響が広がる。長崎県内でもスーパーのパック卵などが値上がりし、使用量が多い外食店やメーカーは打撃を受けている。

 スーパーを展開するジョイフルサンアルファ(長崎市)は半年前からの仕入れ価格上昇を受け、店頭価格を引き上げた。1月中旬までは100円台の品もあったが、全て200円台以上に。長信一治社長は「赤字でも出していたが、もう無理」と声を落とす。
 ジョイフルサン新大工町ファンスクエア店では、1月25日に259円だったパック10個入りが2週間後、356円になった。店長は「売価ベースで約90円上がり、200円台もしんどくなってきた」。少量パックを増やすなどの対策を取っている。消費者の買い控えが懸念されるが、来店した40代主婦は「高くなっても必要だから買う」と話す。
 銘菓カステラも影響を受けている。県内の某メーカーは卵に加え、砂糖の価格や光熱費、人件費も軒並み上がったのを受け、3月ごろをめどに値上げに踏み切るか判断するという。
 県内のある飲食店は、卵の仕入れ値が例年の約1.5倍に膨れ、「品質やサービスを維持するため」に1月中旬、サンドイッチなど全メニューの価格を引き上げた。
 全国的な卵不足の余波も。ジョイフルサンアルファによると、納入する茶わん蒸しが製造中止となり、プリンも数量抑制を求められた。県内の別のスーパーは販売数を確保するため、毎週1回の卵の安売り企画を今週から一時中止した。
 JA全農たまご九州支店によると、九州の指標となる福岡地区のMサイズ1キロ当たりの卸売価格は335円(10日発表)。昨年12月、約31年ぶりに300円を超え、年明けは少し落ち着いたものの今月は昨年以上の高水準で推移している。同支店は「まだ鳥インフルエンザが収まらず、全国的に卵の生産が元に戻るのは1年以上かかりそう。価格は上昇基調が続く」と見通す。


© 株式会社長崎新聞社