十八親和銀行が難病支援施設 子どもや家族の負担軽減 ボランティア団体が運営、5月の開所目指す

長期入院の子どもや家族を支援する宿泊施設に改装する十八親和銀行の旧大学病院前支店=長崎市坂本1丁目

十八親和銀行(長崎市)は、同市坂本1丁目の旧大学病院前支店の空き店舗を改装し、小児がんや難病の子どもと家族が宿泊できる施設「十八親和銀行ペンギンハウス」を開設する。長崎大病院の近くに整備することで、市外や離島から通院する子どもや家族の負担軽減を図る。市内のボランティア団体が運営し、5月の開所を目指す。

 同行では旧十八・旧親和両行の合併に伴う店舗統合で43の空き店舗が生じた。跡地は▽自社活用▽賃貸▽売却-の3分類で検討し、現在は全体の3分の1程度で利用が進む。2019年に店舗統合の新聞記事を読んだ「がんの子どもを守る会九州西支部」幹事の福生泰彦さん(75)=長崎市=が、旧十八銀行に相談したのをきっかけに、難病支援の宿泊施設に活用する案が浮上。山川信彦頭取は「跡地の活用方法は地域貢献を最も重視して進めている。旧支店が、病気と闘う子どもたちや家族の支えになれば」と話す。
 県内で高度医療が必要な子どもの多くは長崎大病院で治療。市外や離島地域からの通院、入院する子どもたちや家族にとって、病院近くで安価に宿泊できる施設には高いニーズがある。現在、市内ではボランティア団体「ペンギンの会」(野添恭士代表)が上西山町の空き家で運営する「ペンギンハウス」がほぼ唯一の宿泊施設。旧支店に移ることで、病院からの利便性が格段に向上し、受け入れ可能な家族も2組程度から5組に増える。
 旧支店は2階建て。宿泊可能な5部屋と共有のキッチン、食堂、洗濯室などを整備する。改装費用は同行が負担し、昨年12月に新たに設立した一般社団法人「長崎ペンギンの会」に無償で貸し出す形で運営。法人の代表理事には野添さん(64)と福生さんが就いた。

十八親和銀行ペンギンハウスについて話し合う「長崎ペンギンの会」の福生さん(左)と野添さん=長崎市上西山町、現在のペンギンハウス

 野添さんは次女を小児がんで亡くしたのをきっかけに01年から難病の子どもや家族への支援を続けてきた。現在の施設は15年ほど前から運営し、延べ数百組が利用。利用者が自由に書き込めるノートには「安心して帰る場所ができた」、「(入院中の子どもの)外泊が急に決まったが、久しぶり家族の時間を過ごせた」など感謝の言葉が並ぶ。「経済面だけでなく、子どもや家族の精神的な面でも役に立っているように思う。新しい施設も『第2のわが家』として利用してほしい」と期待を込める。
 当面の課題は、施設を維持管理していくための費用とスタッフの確保。ペンギンの会は、寄付金に加え、清掃などを担うボランティアスタッフも募集している。福生さんは「できる範囲でいいので、ぜひ多くの人たちに協力してほしい」と呼びかけている。問い合わせは野添さん(電090.3668.8451)。平日午前10時~午後6時。

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