田渕愛子さんに松尾芸能賞・新人賞 琉球音楽部門では初

 日本の伝統ある劇場芸能を振興し、文化、芸能の保存および向上に寄与することを目的に創設された松尾芸能賞の受賞者が13日発表され、沖縄県内から琉球古典音楽安冨祖流絃聲会師範の田渕愛子さん(44)が琉球音楽部門の新人賞に選ばれた。 沖縄県内からの松尾芸能賞受賞は1983年の照喜名朝一さん(特別賞)、2003年の佐藤太圭子さん(優秀賞)、2018年の嘉数道彦さん(新人賞)に続き4人目で、琉球音楽部門では初。

 田渕さんは「照喜名先生が受賞した際は『民俗音楽』の特別賞だった。それから40年たち、琉球古典音楽の先生方や沖縄の芸能を応援してくれる方々の努力があり、琉球音楽が一つのジャンルとして広く認められ、今回の受賞に至った。そのような皆さまへの感謝と、思いを背負っていく覚悟を胸に、精進していきたい」と話した。

 田渕さんは岡山県生まれ、那覇市在住。2001年に照喜名さんに師事。10年に安冨祖流絃聲会師範。12年に岡山、19年に沖縄、22年に東京で独演会を開催し、芸能関係者からも高い評価を受けた。琉球新報社主催の琉球古典芸能コンクール審査員も務めている。18日には、国立劇場おきなわで開催される劇場主催公演「古典音楽の美」に出演する。 大賞は俳優の市村正親。優秀賞に吉田玉男、山村友吾郎、天海祐希、尾上菊之助、三山ひろし。功労賞に林家正楽の各氏。(藤村謙吾)

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