豊田章男TGR WRT会長「もっと安心して、もっと楽しく走れるクルマを」WRC第2戦後コメント全文

 WRC世界ラリー選手権第2戦『ラリー・スウェーデン』の閉幕から一夜明けた2月13日(月)、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの会長を務める豊田章男氏から同イベント後のコメントが発表された。

 2月9日(木)から12日(日)にかけて、北欧はフィンランドのウメオを拠点に開催された2023年シーズン第2戦スウェーデン。ヤリ-マティ・ラトバラ代表率いるTOYOTA GAZOO Racing WRTは、カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が制した2022年に続く大会連覇を目指して今戦に臨んだ。

 しかしWRC史上最年少王者であるロバンペラは、スノーラリーでは不利となる1番手の出走順や、深い轍のできた氷雪路面に苦戦を強いられる。また、チームメイトのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)はクルマに自信が持てず、思うようにペースを上げることができなかった。結果、レギュラードライバーの両名はロベンペラが総合4位、エバンスは僚友に次ぐ5位でラリーを終えることとなった。

 自身初のワークスノミネートによる参戦となった勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、デイ2のSS4でベストタイムを記録するなど好走を見せていたが、同日午後に行われたSS5で激しいクラッシュを喫してしまう。勝田はメカニックの懸命な修復作業によって翌日のデイ3から再出走をしたものの、デイ4の最終SS18を前にエンジントラブルが発生したためリタイアとなっている。

 既報のとおり、今年度末でトヨタ自動車の社長を退任し同社の会長職に就く豊田氏は、「残念ながら順位に結びつきませんでしたが、それぞれのチャレンジは、今回もクルマとチームを強くしてくれたと思っています」とメンバーを労った。そのうえで「ドライバーが“もっと安心して”“もっと楽しく”走れるクルマを、よろしくお願いします」とチームに檄を飛ばしている。

 2023年シーズンを前に、WRCを戦うトヨタチームが立ち上げた新会社TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamで会長を務めている同氏が、ラリー・スウェーデン後に発表したコメント全文は以下のとおりだ。

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WRCに復帰した6年前、ヤリ-マティがTOYOTA GAZOO Racingに初めて優勝をもたらしてくれたのがラリー・スウェーデンです。それ以来、TGRとして、2019年にはオイット(オット・タナク)が、2020年にはエルフィンが、昨年はカッレが優勝してくれています。

フィンランドのチームである我々にとって雪道はホームロード……得意の路面で今年も最高の結果を残したいと、3人のドライバーたちは果敢にチャレンジをしてくれました。残念ながら順位に結びつきませんでしたが、それぞれのチャレンジは、今回もクルマとチームを強くしてくれたと思っています。

貴元の2日目のクラッシュは、今までで一番クルマの損傷が激しいものだったと聞きました。それをメカニックたちは時間内に修理し、貴元たちを翌日のステージに戻してくれたそうです。クラッシュ自体は残念でしたが、これによってチームは更に強くなることができました。メカニックのみんなありがとう。

エルフィンは“あとひとつピースがはまらない”といった感じの悩みを持ち続けているように見えます。2019年のヤリ-マティを見ているようです。エルフィンが探しているピースを見つけられるよう、チームのみんなもとことん付き合っていきます。エルフィンにとっての“もっといいクルマ”を一緒につくりあげていきましょう。

カッレ、君のことだからディフェンディングチャンピオンの気負いはまったくないと思います。次のメキシコも思いっきり楽しんで走ってきてください!

1カ月後のメキシコは今回と打って変わって“熱い”ラリーです。チームのみんな、ドライバーが“もっと安心して”“もっと楽しく”走れるクルマを、よろしくお願いします。

追伸:オイットへ
新しいチームでの初勝利おめでとう!

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team会長

豊田章男

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