〔国内〕2023年1月の災害を振り返る

2023年1月に発生した国内での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●1月
【自然災害】山形県鶴岡市で土砂崩れ 2人が行方不明 約10軒が倒壊
[被害]死者2人 負傷者2人 損壊家屋約10軒
2022年12月31日01:00頃、山形県鶴岡市西目で、通行人から「家屋が倒壊している」と警察に通報があった。現場では集落の裏手にある山が約100m以上にわたって崩れ、作業場など約10軒が倒壊していた。現場には住家が2軒あり、捜索の結果、2人が救出され病院へ搬送、2人が死亡した。土砂崩れを受け、鶴岡市は、西目地区の一部に避難指示を出した他、山形県も災害救助法の適用を決めた。土砂崩れの発生場所付近は土砂災害警戒区域に指定されていたが、発生当時、降雨や降雪が続いている状況ではなかった。その後の山形大学による調査で、現場付近では地山の風化が進み崩壊しやすい状態となっており、さらに降水や雪解けが重なって土砂崩れが発生した可能性があると指摘されている。
顕著な降雨がない状況での突然の土砂崩れは、2018年4月11日に大分県中津市耶馬渓町でも発生している。この土砂崩れでは、数千年前に発生した崩落の堆積土に地下水の水位が上昇して流れ込み、かつ堆積土が風化していた点が原因だった。

【自然災害】バックカントリースキーによる遭難 各地で相次ぐ
[被害]死者4人 行方不明者2人 負傷者2人
2023年1月、全国各地の山岳地でバックカントリースキーを行うスキーヤー、スノーボーダーの遭難が相次いだ。
1月8日、長野県白馬村の八方尾根スキー場周辺のバックカントリーでスノーボードをしていた男性2人が行方不明となった。捜索が続けられたものの13日に打ち切られ、現在も行方不明となっている。
1月13日14:20頃、北海道倶知安町の羊蹄山でバックカントリースキーを行っていた外国人グループ10人のうち女性1人が雪に埋まり死亡した。死亡した女性はグループからやや離れており、雪崩に巻き込まれたと見られている。当時の倶知安町の気温は平年の最高気温より10度高い8度で、後志地方には、なだれ注意報が発表されていた。
1月29日11:00頃、群馬県みなかみ町の谷川岳で、バックカントリーでスノーボードをしていた4人グループのうち男性1人が雪崩に巻き込まれた。約1時間後に意識不明の状態で救助され病院に搬送されたが、その後死亡が確認された。
1月29日14:30頃、長野県小谷村の栂池高原スキー場の北側付近で雪崩が発生し、バックカントリースキーをしていた外国人の3グループ合わせて13人のうち4人が巻き込まれ、男性2人が死亡した。死亡した男性の1人は米国籍のフリースタイルスキー元世界選手権王者だった。雪崩発生当時、小谷村では積雪の上に更に降り積もった雪が滑り落ちる表層雪崩を警戒し、なだれ注意報が発表されていた。
1月30日17:40頃、 新潟県妙高市のスキー場の関係者が「妙高連峰でフィンランド人4人が遭難した」と駐在所に届け出た。その後、翌31日02:00過ぎに4人が自力で下山したところを保護された。4人にけがはなく、命に別状はなかった。
1月31日11:10頃、鳥取県大山町の大山で、バックカントリーでスノーボードをしていた男性3人が雪崩に巻き込まれ、うち2人が足や肩の骨を折るけがをした。当時、鳥取県内にはなだれ注意報が発表されていた。
1月31日18:05頃、長野県山ノ内町の焼額山で、バックカントリースキーをしていた外国人2人が遭難したと、2人の知人から警察に通報があった。その後通報した知人を通じて、翌2月1日02:50頃に2人が自力で下山したのが確認された。2人にけがはなかった。

【自然災害】強い寒気と冬型の気圧配置で大雪・暴風雪による被害相次ぐ
[被害]死者8人 負傷者271人 停電約2万7000軒 断水約1万4000軒
2023年1月24日から25日にかけて、日本付近は強い冬型の気圧配置となり、上空にはこの冬一番の強い寒気が流れ込んだ。この影響で、日本海側を中心に大雪や暴風雪となったほか、普段は雪の少ない西日本の太平洋側でも大雪となったところがあり、ライフラインや交通機関を中心に大きな被害が発生した。
このうち、ライフラインでは、低温によって水道管の破裂が相次いだことによる広域での断水やにごり水が発生する被害が目立った。特に石川県では、加賀地方北部や能登地方を中心に1万軒以上で断水となり、復旧までに数日を要するなど市民生活に大きな影響が生じた。
また、交通機関では、24日夜、京都市内を走行していたJR京都線と琵琶湖線の複数の列車が大雪に伴うポイント故障により、駅間で立往生し、翌25日明け方まで最大で約7000人が列車内に閉じ込められた。また、新名神高速道路では、三重・滋賀県境で多数の車が動けなくなる立往生が複数箇所で断続的に発生し、解消まで1日以上を要した。いずれも運転見合わせや通行止めの判断が遅れたことや乗客・ドライバーの救済に時間を要したことが問題視された。

© 株式会社レスキューナウ