〔海外〕2023年1月の災害を振り返る

2023年1月に発生した海外での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●1月
【政変・政情不安】ブラジル首都の連邦議会などに前大統領の支持者が多数侵入、暴徒化
2023年1月8日15:00頃(日本時間1月9日03:00頃)、ブラジルの首都ブラジリアにある連邦議会や大統領府などにボルソナロ前大統領の支持者が侵入し破壊行為を行うなど暴徒化、多くの人が拘束された。
ブラジルでは、2022年10月の大統領選挙で元大統領のルラ氏が現職だったボルソナロ氏を破って大統領に返り咲き、2023年1月1日に就任した。しかし、選挙結果を不服とするボルソナロ前大統領の支持者は、選挙後も断続的に抗議デモを行っていた。
この日は、SNSなどでの呼びかけに応じた約4000人がデモに参加していたが、デモ隊は道路上のバリケードを突破し、連邦議会、大統領府、最高裁判所などの政府機関に相次いで侵入、窓ガラスを割ったり施設を破壊したりするなどして建物を一時占拠した。その後、治安部隊が催涙弾や放水車で制圧を図り、翌9日までに約2000人が拘束された。
この暴動の一因として、治安部隊や政府要人にボルソナロ前大統領の支持層がいたことで治安対策を怠ったことも挙げられ、この事件後、ルラ大統領は軍幹部などを相次いで解任し、事態の収拾にあたった。

【事故】ネパールでプロペラ機墜落
[被害]死者71人 行方不明1人
2023年1月15日11:00前(日本時間同日14:00過ぎ)、ネパールの首都カトマンズから西に200kmの位置にある都市ポカラへ向かっていたイエティ航空のプロペラ機が墜落した。事故当時、乗客乗員合わせて72名が搭乗していたが、事故当日に68名の死亡が確認された。その後ドローンなども用いた捜索により、17日までに71人の死亡が確認され、ネパールでの航空機事故としてはここ30年以内で最悪の規模となった。墜落現場はポカラの旧空港と開業したばかりの新空港の間にある渓谷で、事故当時、現場の天候は晴れだった。

【テロ】パキスタン北西部のモスクで自爆テロ 100人以上死亡か
[被害]死者101人 負傷者221人
2023年1月30日12:00頃(日本時間同日16:00頃)、パキスタン北西部ペシャワルのモスクで自爆テロが発生し、モスクの天井の一部が崩壊し、集まっていた人々が下敷きとなった。このテロで少なくとも死者100人、負傷者200人を超える被害となった。
現場は治安当局が置かれた周囲の警備が厳重な地区内部に位置する警察官が集まるモスクで、事故当時は正午の礼拝で400人程度の警察官が集まっていた。ペシャワルの警察署長は、実行犯は警察官を装って内部に侵入し、警察への報復を目的にテロを起こしたものと見解を示した。
このテロを巡っては、イスラム武装勢力TTP(パキスタンのタリバン運動)や過激派組織IS(イスラム国)が相次いで犯行声明を出した後に取り下げており、当局は慎重に捜査を進めている。ペシャワルでは、モスクなどへの自爆攻撃が繰り返し発生しており、2022年3月に発生したイスラム教シーア派のモスクを狙った自爆テロではISが犯行声明を出している。

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