渋谷で…日本橋で… “スタートアップ”&“宇宙”産業を支援する動き

渋谷と日本橋でそれぞれ、ビジネスシーンを支援する動きが広がっています。

<渋谷区、官民連携でスタートアップを育成・支援する株式会社を設立>

渋谷区が、区を代表する民間企業3社と共に、スタートアップを支援する株式会社の設立を発表しました。

国内外のスタートアップ企業の育成を目的に、渋谷区は2月13日、東急・東急不動産・SMOインターネットグループの3社と連携して「シブヤスタートアップス株式会社」を2月下旬に設立すると発表しました。

渋谷区には現在2000社を超えるスタートアップが拠点を構えていますが、国際的な成功を収める企業は生まれていません。こうした課題を解決するため、官民連携でスタートアップを育成・支援し、世界中から起業家を呼び込みたい考えです。日本が世界の中でトップを行くシニアビジネスや防災、さらにアニメや食文化などのノウハウを取り入れたい企業が参加すると見込んでいます。シブヤスタートアップスの渡部志保社長は「日本の強いところを生かして、渋谷拠点・日本発の、世界を取りにいけるようなスタートアップを招聘(しょうへい)したいと思っている」と語りました。また、渋谷区の長谷部健区長は「今まで行政が苦手としていた分野だが、民間のリソースをうまく渋谷のリソースとまざりながら、国内だけのスタートアップだけでなく海外から優秀なスタートアップに来てもらい、この街でさらにアクティブに育っていく。『渋谷から世界に』といったものがもっと出てくることを期待している」とあいさつしました。

<日本橋が宇宙産業の中心地に 異業種交流で技術の誕生を期待>

中央区の日本橋エリアでは宇宙ビジネスが活発になっています。今年4月から産・官・学が連携する新たな拠点が誕生します。

三井不動産が中心となって宇宙分野に力を入れる企業や有識者らが2022年9月に設立した「クロスユー」が4月から本格的な活動を始めると発表しました。クロスユーは異業種の交流がしやすいよう、日本橋に新たなコワーキングスペースを用意するなど、これまで宇宙産業と関係がなかった企業にも参加を促し、新たなビジネスや技術開発を進めていくということです。クロスユー理事長で東京大学大学院・工学系研究科教授の中須賀真一さんは「宇宙をどんどん使っていくことが宇宙産業の発展にとっても日本の産業全体にとっても、さらには地球にとっても非常に重要なことだと考えている」と語っています。

<日本橋から宇宙ビジネス 成長分野で"地球にも優しい”>

「クロスユー」が誕生した背景をまとめました。

宇宙ビジネスにはアメリカの「スペースX」社などが有名ですが、2040年には市場規模が120兆円まで拡大すると推測されているほどの成長分野です。さらに、宇宙開発を取り巻く環境にも変化が出てきています。冷戦時代は宇宙事業は"国の威信を懸けた国家同士の開発「競争」”という状況でしたが、同じ「きょうそう」でも、民間企業が中心となって"国境や業種を越えて共同で開発する「共創(きょうそう)」の時代”へと変化してきているということです。

日本は探査機「はやぶさ」を造るなど高い技術を持っている分野はあるものの、ビジネスの規模ではアメリカなどに大きく遅れをとっています。今後、宇宙産業を伸ばすことが日本の産業全体にとってプラスになると考えられています。

宇宙に関連する産業は例えば「乗り物」や「エネルギー」「食事」や「ロボット」など多岐にわたります。こうした技術開発は宇宙空間だけでなく、地上の社会課題の解決にも役立ちます。ゼロカーボン社会のために必要な水素電池の技術や、探査のためのセンサー技術が災害時の救助に役立ったり、宇宙食などの「フードテック」も今後、防災の分野での活用が期待されています。

こうした宇宙産業を発展させるため、今は参入していない企業にもどんどん入ってきてもらいたいということで、クロスユーは異業種が交流しやすいよう、日本橋にバーラウンジも併設されたコワーキングスペースを用意したり、2022年12月には宇宙に関する展示会やイベントを開催することで、日本の宇宙産業の発展を支援していくということです。お酒を飲みながらの会話から新しいビジネスのアイデアが生まれてくるかもしれません。

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