会社員とフリーランスの社会保険料はどう決まる? 仕組みと保険料を抑える方法を解説

給与所得者であれば、毎月の給与から差し引かれて支払っている社会保険料。毎月の明細をみるたびに「結構引かれてるなあ・・・」と感じている人も多いのではないでしょうか。もちろん、社会保険料を払うことで、さまざまな給付を受けられるわけですが、少しでも抑える方法があるなら実践してみたいと思うでしょう。

今回は社会保険料が決まる仕組みと、保険料を抑える方法についてご紹介します。


給与所得者が支払う社会保険料

給与所得者が支払う社会保険料は、厚生年金保険料、そして健康保険料が主な項目ですが、この保険料は毎月受け取る給与などの報酬を区切りのいい範囲で区分した「標準報酬月額」によって決まります。標準報酬月額は厚生年金保険料については32等級、健康保険料については50等級に区分されており、等級が高くなるごとに保険料額も高くなるしくみです。
また、賞与が支給されている場合は、賞与の総額(千円未満切り捨て)から求めた標準賞与額を設定して、それをもとに保険料が計算されます。

では、計算の対象となる報酬には、どのようなものが含まれるのでしょうか。

基本給は当然含まれますが、そのほかには「役付手当」「勤務地手当」「家族手当」「通勤手当」「住宅手当」「残業手当」などが含まれます。さらに、賞与が支給されている場合は賞与の額も含まれます。

・月の報酬が15万円だった場合の社会保険料はいくらになる?
全国健康保険協会(東京都)の表を参考にすると、保険料額は標準報酬月額に基づいた等級によって、以下のとおり決まっています。

引用:全国健康保険協会(東京都)令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表

この表によると、報酬月額が15万円の場合の標準報酬月額は15万円、等級は12等級です。そして、40歳未満の介護保険第2号被保険者に該当しない場合であれば、健康保険料は7,357円、厚生年金保険料は1万3725円となり、合計額2万1082円が毎月の保険料です。

・ポイントは4月~6月の報酬月額

保険料の計算においては、実際の報酬と標準報酬月額に大きな差が生じないように、事業主は7月1日の時点で使用する被保険者(従業員)の4月~6月の3ヶ月間の報酬月額を「算定基礎届」によって届け出ます。そして、厚生労働大臣は、その届出内容に基づいて、年に1度標準報酬月額を決定します。これを「定時改定」といい、原則として9月~翌年の8月までの保険料の計算の算定基準として利用します。

つまり、4月~6月の間に残業が多く、会社から受け取る報酬が多い場合は保険料も高く設定されます。

・保険料を抑える方法は?

上の説明からもわかるとおり、4月~6月の報酬額を少なくすることで、最終的な社会保険料額を抑えられます。つまり、4月~6月は残業をできるだけ少なくすることが、保険料を抑える方法です。ただし、保険料を抑えることにより将来受け取れる年金額も減少することになります。保険料を抑える際には将来受け取れる年金額も考慮しながら行うようにしましょう。

個人事業主やフリーランスが支払う社会保険料はどう決まる?抑える方法は?

個人事業主やフリーランスは国民年金保険料と国民健康保険料を支払わなければなりません。国民年金保険料は年齢および収入に関係なく一律で決まっています。

ただし、国民年金保険料は前納することで割引が適用されます。前納の方法には「口座振替」「6ヶ月前納」「1年前納」「2年前納」」の4つがあり、前納する期間が長いほど割引額も高くなります。資金の余裕があるなら前納を選択することで、支払う保険料を抑えられます。

国民健康保険料は、所得額に応じて「所得割」「資産割」「均等割」「平均割」を算出し、それぞれの額を合計したものになります。ちなみに所得割などの項目の組み合わせおよび限度額は自治体によって異なります。

仮に東京都千代田区在住の40歳未満で、その年の合計所得が300万円だった場合、国民健康保険料は年額28万7,796円(月額23,983円) です。

国民健康保険料は所得額に応じて決まるため、経費計上できる額を増やして最終的な合計所得金額を少なくすることによって保険料を抑えられます。ただ、保険料を抑えるために経費を多く使うのは本末転倒ですよね。

このように国民健康保険料は金額を抑えるのは、難しいのが実態です。

気になる令和5年の国民年金保険料額は?

令和5年1月20日の厚生労働省による発表 によると、令和5年の国民年金保険料は1万6,980円と、令和4年の額(1万6,520円)から460円も値上りしています。年額にすると20万3,760円になり、令和4年から5,520円の増額です。こんなときこそ前納を利用して賢く節約したいですよね。

給与所得者も個人事業主も、公的な給付を受けるためには保険料を納めなければなりません。ただし、保険料の種類や納付方法、受け取る報酬の調整などによって支払う保険料を抑えることができます。これまで気にせず支払ってきた人は、保険料を抑える方法について一度考えてみることをおすすめします。

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