長崎市 一般会計2187億円 新年度 当初予算案発表 過去3番目の規模

長崎市一般会計当初予算案

 長崎市は13日、2023年度一般会計当初予算案など60件を発表した。一般会計の歳入・歳出は2187億7千万円で、前年度比1.0%の増。4月の市長・市議選を控え、新規事業を絞り込む骨格予算としたが大型事業に伴う投資的経費の増大を主因に、過去3番目に大きい予算規模となった。市税では4月に宿泊税を導入し、観光振興の財源に充てる。20日開会予定の定例市議会に提出する。
 田上富久市長は記者会見で「当初予算は骨格予算の考えが基本だが、物価高騰対策など早急に対応が必要なものは1月の臨時議会で予算計上した。2月補正を含め『15カ月予算』として取り組む」と説明。厳しい財政運営が見込まれることから「デジタル化の推進による業務の効率化など『戦略的な収支改善』に継続して取り組む」とした。
 歳入のうち、市税は新型コロナウイルス禍で落ち込んだ景気の回復や、「長崎駅周辺土地区画整理事業」の進展による税収増などで前年度比1.8%増の549億1900万円を見込む。新たに導入する宿泊税は約3億7千万円。国庫支出金などの依存財源は前年度比1.4ポイント減ったが、62.9%を占めた。
 歳出のうち、経常的経費は人件費が減るものの、扶助費の伸びや、新市庁舎建設事業などの公債費の償還が本格化することから前年度比0.7%増の1934億7千万円。投資的経費は市ごみ処理焼却施設「東工場」建て替え(約32億円)や、来年9月の完成を目指す「長崎スタジアムシティ」への補助金(33億1300万円)など253億円を計上し、前年度に比べ3.1%増える。
 借金に当たる市債残高は23年度末時点で2675億2千万円(市民1人当たり66万7千円)。前年度(現時点の予算ベース)から約93億円減る。貯金に当たる基金(財政調整、減債)は、現時点での本年度予算額166億円から80億円に減る見通し。
 市は13日、22年度一般会計補正予算案も発表した。「長崎駅周辺」事業で駅前で整備予定の歩道橋「南北接続デッキ」(仮称)の形状変更に伴う追加事業費などを盛り込み、23億9100万円を増額。補正後の予算総額は2355億8500万円となる。

◎子育て、防災などに絞り込み 新規・拡大79件

長崎市の新年度当初予算案の主な新規事業

 長崎市の新年度一般会計当初予算案は、4月の市長・市議選を控えた骨格予算で、新規・拡大事業を前年度より71件少ない79件(うち新規47)に絞り込んだ。重点テーマは特に設けず、緊急性を要する安全対策や年度当初から実施しなければ市民生活に支障がある事業を盛り込んだ。
 市庁舎移転に伴い、旧庁舎本館と議会棟の解体費3億8200万円を計上。総事業費は5億4600万円で2024年度完了予定。跡地には新たな文化施設を建設する計画。
 デジタル技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進施策では、市が発行する約300種類の納付書を原則、キャッシュレス決済やコンビニで納付できる環境を整える予算3100万円を盛り込んだ。水道料金といった現在の10種類程度に加え、学校給食費やし尿処理手数料などが新たに対象となる。新年度中にテスト運用を始め、24年度の本格導入を目指す。
 子育て支援施策では「丸尾・西泊・福田区域」をカバーする子育て支援センターをみなと坂2丁目に整備する(事業費5千万円)。木造平屋の延べ床面積105平方メートル。来年3月に開設予定。今回で市が目標に掲げる市内16区域への設置が完了する。
 防災関係では、盛り土の崩壊で住宅に被害を及ぼす恐れがある場所を規制区域に指定するための調査費用6千万円を計上した。静岡県熱海市の土石流災害を踏まえ、危険な盛り土を全国一律の基準で規制する法改正が昨年あり、新たな区域設定のため市内全域を対象に調査する。


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