長崎県2023年度当初予算案 主な事業は? 18歳まで医療費助成など

2023年県当初予算案の主な新規事業

 長崎県が13日発表した2023年度当初予算案は「子ども施策」を最重要テーマに掲げた。このほか「安全・安心な暮らし」「みんながチャレンジできる環境づくり(産業振興など)」「デジタル化」「まちづくり・情報発信」の四つを重点テーマに据えた。テーマ別に主な事業を紹介する。

  子ども施策 

 高校生世代(15~18歳)の医療費を所得制限を設けずに助成する(一部自己負担あり)。現在、県内21市町のうち9市町が18歳までを助成している。新年度からは全市町で18歳まで全ての子どもが助成を受けられるようになる。
 不妊に悩む夫婦の負担軽減のため、先進医療による治療費の7割(上限5万円)を支援する。医療的ケア児の家族の負担軽減策も拡充。医療保険適用外となる外出先などでの訪問看護費用などを市町と折半して補助する。
 教育関係では、遠隔授業配信センター(仮称)の大村市の県教育センター内への設置(2025年度)準備に入り、離島半島の小規模高校でも多様な科目を選択可能にする。まずは1学年1クラスの6校を対象に機器を配備する。秋ごろにも試験的な授業を実施予定。市町とも連携し、県立高の魅力アップを図る。

  安全・安心な暮らし

 周産期や救急の持続可能な医療提供体制を構築するため、実態調査や適切な利用の普及啓発に力を入れる。
 4月1日の「県ケアラー支援条例」施行に合わせ、ケアラー(介護・看護・援助者)の実態調査や推進計画の策定を推進。介護人材の確保に向け、事業所に効果的な採用ホームページの作り方を専門家がアドバイスしたり、中高生にパンフレットを配布したりするなど仕事の魅力発信を支援する。
 「動物殺処分ゼロ」を掲げたプロジェクトも推進。県動物管理所(アニマルポート長崎、大村市)での不妊化手術や地域猫活動アドバイザーの創設、セミナーの開催などをする。

  産業振興 

 新たな基幹産業になると期待される航空機・半導体関連産業の設備投資や販路拡大を支援。県内の半導体関連企業と大学のマッチングを促進し、共同研究費を補助する。
 1次産業における移住者の就業拡大を図るため、情報発信や負担軽減策を強化する。農業はJAなどの園芸リースハウス整備を支援。漁業は漁具の購入補修経費を補助するほか、技術習得研修を拡充する。
 スタートアップ企業の集積に向けた交流イベントや、国境離島地域での起業を促すビジネスコンテストも実施する。

  デジタル化 

 観光は、マーケティングを強化するため、人流や宿泊情報などのデータ分析ツールを整備。ウェブ広告など戦略的なプロモーションにつなげる。
 農業は、生産データを共有する体制を構築し、産地間や普及指導員をオンラインでつないだ勉強会を開催。遠隔・自動化技術の導入を支援し、次世代農業デジタル人材を育成する。
 水産加工業は、人工知能(AI)を搭載するなど作業省力化につながるデジタル機器の導入を支援する。

  まちづくり・情報発信

 西九州新幹線の開業効果拡大を狙い、県内周遊の旅行商品や切符づくりを支援。開業1周年を記念した小学生向けの体験乗車会を実施する。
 福岡県を経由するインバウンド(訪日客)を呼び込むため、海外航空会社と連携し長崎の魅力を発信。台湾や香港、韓国に仕掛けていたデジタルマーケティングの対象に中国も加える。
 海外からの航空臨時便の誘致実績を増やし、長崎空港24時間化につなげる。県外学生と県内企業の交流機会増、農産物の輸出拡大にも取り組む。住民を主体とした観光まちづくりへの支援を拡充する。


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