「子ども施策」最重点に 長崎県の新年度予算案 一般会計7515億円 

2023年度県当初予算案

 長崎県は13日、2023年度当初予算案を発表した。一般会計総額は22年度比0.1%増の7515億円。最重要テーマに据えた「子ども施策」として、高校生世代への医療費助成3億5500万円など30事業13億円を盛り込んだ。総額は5年連続で増加し、3年連続で7500億円規模となった。20日開会予定の定例県議会に提出する。
 就任1年目で初の本格予算編成となった大石賢吾知事は、会見で「県政の中で継続していくものと変えていくものがある。今までやってきた事業の修正も含め、まだ十分ではないが、これから県政が目指すべき視点は盛り込めた」と述べた。
 子ども施策は不妊治療の支援にも乗り出す。離島半島の教育環境を充実させるため、小規模高校向けの遠隔授業配信センター(仮称)の開設準備を進める。
 子ども施策に次ぐ重点テーマの一つに「みんながチャレンジできる環境づくり」を掲げ、スタートアップ(新興企業)の集積を図る。航空機・半導体関連産業の育成など新たな基幹産業の創出や成長分野への参入を促進。離島への移住・定住を促すため、島外起業家らを対象としたビジネスコンテストも開催する。
 新型コロナウイルス感染症対策関連は440億円を計上。西九州新幹線の開業効果を拡大するため、県内周遊旅行商品の造成を継続。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備計画の認定を当て込み、交通渋滞や依存症の対策費などに15億1500万円を充てる。
 これに対し歳入は22年度並みの7335億円。県税収入は地方消費税の増加などから22年度比13.0%増で過去最高の1376億円となる。一方、実質的な地方交付税(臨時財政対策債含む)は同0.5%減の2335億円と見込む。歳入不足は179億円で、県の貯金に当たる財政調整3基金を切り崩して補う。
 23年度末の県民1人当たりの県債残高は94万1千円になる見通し。臨時財政対策債を除く実質的な残高は65万8千円となる。
 物価高騰を受けた経済対策として、子育て世帯向け県産お米券配布(12億5600万円)など、総額46億4300万円の22年度一般会計補正予算案も当初予算案と一体的に編成した。


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