熱意ある外国人実習生を応援 経営者有志が組合

「アンドワーカー協同組合」の事務所(和歌山県上富田町朝来で)

 和歌山県田辺・西牟婁の経営者ら有志4人が、東南アジアの技能実習生と受け入れ先の企業をつなぐ監理団体「アンドワーカー協同組合」(上富田町朝来)を立ち上げた。組合の代表理事を務める籠重誠二さん(52)は「夢と熱意を持って日本に来る若者を応援したい。人材不足に悩む地元企業の発展にもつなげたい」と話している。

 外国人技能実習制度は、発展途上の国や地域に住む若者が日本で技術や知識を学び、帰国後に母国の発展に役立ててもらうことを目的としている。期間は最長5年。

 監理団体は、企業と技能実習生を仲介し、適切な実習を受けられるようサポートする非営利団体。外国から実習生を送り出す機関と契約し、技能実習生の求人募集や受け入れまでの手続きを支援したり、実習生を守るため企業への監査や指導をしたりする。

 外国人技能実習機構(東京都)によると、県内にある監理団体は、1月末現在15団体。

 今回、アンドワーカー協同組合を立ち上げたのは、精肉卸売りなどを手がける「カゴシゲフーズ」(田辺市宝来町)代表の籠重さん、特定の業種で外国人の就労を支援する登録支援機関「ぷらすわん」(上富田町朝来)代表の木田聖子さん(51)、大阪市で測量登記事務所を経営する眞砂誠司さん(51)、業務スーパー朝来駅前店(上富田町朝来)などを運営している「岸商店」代表の岸敏明さん(58)の4人。

 木田さんは、技能実習生を単なる労働力として扱い、劣悪な環境で働かせているケースがあるというニュースを見て、「人を人として扱っていない状況をなんとかしたい」と自身で監理団体を立ち上げることを決意。人材不足でさまざまな産業が消えていく紀南の現状に危機感を抱いていた籠重さんらも賛同した。

 監理団体の立ち上げに向けて、ベトナムやインドネシア、ネパールなどに足を運んで技能実習生を送り出す学校を視察。基礎的な技術や日本語、日本でのマナーなどを教え、多くの技能実習生を送り出した実績がある6校と契約した。また、和歌山県や三重県、大阪府などで、すでに農業や食品加工、建築などの業種で事業者と受け入れ契約を結んでいる。

 籠重さんは「農業など重要な業種でも人材不足は深刻。技能実習は、基礎的な技術や知識を持った熱意のある人材が数年間働いてくれる制度でもある。日本に来て良かったと思ってもらえるよう実習生のサポートをしていきたい」と話す。

 外国人を取り巻く偏見をなくすことも重要だといい、木田さんは「真面目で熱心な若者が、勉強のために日本に来ているということをもっと知ってもらいたい。『外国人だから』という理由だけで受け入れてもらえない環境をなくしたい」と話している。

 問い合わせは、アンドワーカー協同組合(0739.33.2297)へ。

© 株式会社紀伊民報