新潟県燕市が来年度当初予算を発表、子育て・人口減少対策に重点を置き「こども政策部」も新設

燕市の鈴木力市長

新潟県燕市は14日、2023年度当初予算を発表した。一般会計予算の総額は431億9,000万円と、合併以降最大となった2022年度(455億4,700万円)に次ぐ規模となった。なお、借換債を除く実質的な予算規模は376億9,685万円で、前倒しで補正予算を計上している繰越事業18億5,299万円を合わせた執行ベースでの予算規模は395億4,984万円となり、こちらは2022年度を超え合併後最大となった。

2023年度は燕市にとって第3次市総合計画の初年度にあたる。第3次市総合計画では5つの柱を設定しており、「都市環境の整備」や「持続可能な行財政運営の推進」も掲げるが、「定住人口戦略」「活動人口戦略」「交流・応援人口戦略」の3つの人口減少対策を特に大きく打ち出している点が特徴。こうした方向性から2023年度の当初予算でも、人口戦略・子育て関連施策と、地域社会DXや脱炭素社会の推進施策の2つを重点施策とした。これに加え、庁内の子育て関連のチームを再編して「こども政策部」を新設する。

燕市の2023年度当初予算の規模(燕市の報道資料より)

「子育てするなら燕市で」をテーマに、人口戦略の主要事業31億9,923万円のうち、子育て支援や教育支援に向けた事業が15億8,443万円の予算を計上する。なお、このうち7億2,763万円が2024年度オープンを目指す「全天候型子ども遊戯施設」の建設事業の予算となっている。

人口戦略関係の新規事業としては、妊産婦の健診時などの移動を支援する「タクシークーポン事業」(600万円)、教育における「STEAM教育推進事業」(250万円)などが盛り込まれたほか、県外の燕市出身者の交流拠点「つばめいと」の事業拡張など、応援人口増やUターン支援などへも予算を配分した。

燕市の鈴木力市長は会見の中で「元々人口減少の対策は大きな課題であったが、第3次総合計画のスタートや、国の方針もあってこのタイミングでやることになった。一つひとつは大きな金額ではないが、全体として見ると、出会いから妊娠出産、子育て、大学卒業から就職まで、あるいは就職後も『つばめいと』などでの交流など、総合的に一貫してパッケージでやっていくことが燕市の大きな特徴。働いている人が子育てしやすいまちづくりをして、それを推進していく組織(こども政策部の新設)をつくっていく」と話す。

また、全天候型子ども遊戯施設の新設に大きな予算をとっている点も絡め「これまではソフト事業が中心だったが、初めての箱物に挑戦する。市民へのアンケートでもニーズが高い。これを核に据えていきたい」という。

なお、市長部局に新設するこども政策部には、保育園などの運営を行う「こども未来課」と、児童手当や母子保険事業、相談窓口などの業務を行う「子育て応援課」を設置。庁舎関係職員約40人と保育士などの保育関係職員約150人を合わせた190人規模の部署となる。

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