パワーステージは「トップを争えた」と勝田貴元。エンジン不調により直前でリタイア/WRCスウェーデン

 ボーナスポイントの懸かる最終パワーステージを前にエンジントラブルのためリタイア。「間違いなくトップを争えるはず」そのように感じていた勝田貴元のワークスノミネート初陣は、ステージひとつを残して未完に終わった。

 2月9~12日、WRC世界ラリー選手権第2戦『ラリー・スウェーデン』がスウェーデン北部のウメオを拠点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTから3台目のトヨタGRヤリス・ラリー1に乗り込み今戦に臨んだ勝田は、良いフィーリングを掴み、好ペースを見せながら最後はリタイアとなった。イベント後に行われたオンライン取材会において彼は、好材料をラリーの結果につなげられなかったことが「今回自分に足りなかった部分」であると語っている。

 2023年シーズンに向けたトヨタの体制変更により、TOYOTA GAZOO Racing WRTのワークスドライバーとしてWRCに参戦することになった勝田。今季第2戦スウェーデンは、セバスチャン・オジエと3台目のマシンをシェアする勝田にとって、初めてワークスノミネートを受けて出場するラリーだった。

 そんな今大会で勝田は序盤からスピードに乗り、金曜デイ2朝のSS2で4番手タイムを、続くSS3で3番手、この日の最長ステージだったSS4ではトップタイムをマークした。午後のSS5で起きたロールをともなうアクシデントの影響でその後デイリタイアを余儀なくされたが、再出走した土曜日以降は出走順一番手と不利な状況でありながら好タイムを並べ、デイ3最後のSS15では3番手タイムを記録した。

 こうなるとSS15の再走ステージであるSS18、最終パワーステージでのボーナスポイント獲得に期待が掛かる。しかし、勝田のマシンはクラッシュによる影響から、土曜日の時点からエンジンに不具合が現れており、日曜日にはドライバーが感じ取れるまで悪化してしまう。このため、トヨタチームはSS17を終えた時点でリタイアを決め、勝田は最後のスピードテストを前にしてラリーを終えることとなった。

■スウェーデンの最大5ポイントより、今後の5ポイント以上

 パワーステージに臨むにあたりボーナスポイントを獲得できる自信はあったか、というオートスポーツwebの質問に対し、勝田は確実にトップを争えるレベルの良いフィーリングがあったと答えた。

「(最終SS18と)まったく同じステージが前夜にあり、そのSSでパワーステージに向けて『どんな感触で行けるか』と探りながら、プッシュし過ぎることなく様子をみながら走ったところ、3番手タイムが出ました。フィーリングも悪くなかったです」

「もちろん、パワーステージは皆プッシュしてきますから実際に走ってみないとなんとも言えないですが、でも間違いなくトップを争えるんじゃないかな、というフィーリングがありました」

 リタイアの判断について、勝田は「今後のためになる」と理解を示している。

「残念ですけど、ここで取れる5ポイントよりも今後……まだ、どこで3台目のノミネートされるか分からないですが、ポルトガルなり、サファリなり、そういったところで自分が3台目で出たときに、間違いなく5ポイント以上のポイントが取れるという自信が自分にもあります」

「また、チームもそういう認識でいてくれていたので、今回最大5ポイントを犠牲にしたとしても、そっちの方が今後のためになるのではないか、そういう判断でリタイアすることになりました」

 今大会は得意とするスノーラリーで光る速さを見せながら結果に結びつなげることができず、「チームに申し訳ないという気持ちが大きい」と述べた勝田。次戦以降に向けては、今回足りなかった部分を見つめ「今後につなげていきたい」と抱負を語った。

ワークスノミネート初陣はリタイアとなった勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第2戦ラリー・スウェーデン

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