保健師が最も気にする眼の疾患とは?定期健診では何を調べているのか

年度末が近づいてきました。
「今年度の職場の定期健康診断をまだ受けていない!」という方は、ぜひ早めに予約・受診をお願いいたします。
健康診断を受けた方は、眼の検査項眼はいかがでしたか?
たとえば視力低下指摘される場合「日常生活に支障があれば受診を」といった曖昧な表現での判定コメントで受診するか迷い、結局受診しないままの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では健康診断で指摘を受けやすい視力低下を含む「眼の検査や病気」に焦点をあて説明します。
加えて職場で気をつけたい眼の病気についてもお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

<具体的には以下の内容についてまとめています>
・ 健康診断での眼科に関する検査項目は視力・眼底・眼圧検査の3つ
・ 従業員の健康診断結果を確認していて多い所見は「緑内障の疑い」「視力低下」
・ 職場で気をつけたい眼の病気 VDT作業による視機能の障害「眼の充血」「ドライアイ」「眼精疲労」

健康診断での検査項目は視力・眼底・眼圧検査の3つ

健康診断では3つの眼科検査があります。
視力、眼底、眼圧検査です。
視力検査は法定項目、眼底検査・眼圧検査は法定外項目です。
眼底検査と眼圧検査は企業によっては対象者を絞ってオプションで健診診断の検査項目に含めている場合があります。
不明な方は職場の健康診断担当者へご確認ください。

従業員の健康診断結果を確認していて多い所見は「緑内障の疑い」「視力低下」

日頃保健師として企業からの依頼で健康診断結果の確認や事後措置をおこなっているなかで、散見される所見は眼圧検査で指摘される「緑内障の疑い」、そして視力検査での「視力低下」です。

1. 緑内障

まずは緑内障という病気を皆さんご存知でしょうか。
緑内障とは、眼圧の上昇や視神経の脆弱性などにより視神経が障害され、それに対応した視野障害をきたす疾患で、日本における失明原因の第一位です。
初期には自覚症状がなく、視野障害を自覚するころにはすでに進行期であることが多い病気です。
治療せず放置すると失明に至ります。

◎健康診断結果で気をつけてほしい内容◎
・ 眼圧の上昇
・ 視神経乳頭陥凹の拡大
・ 緑内障性乳頭変化の疑い

上記のような理由で再検査や要精密検査等の指示が出た場合は、できるだけ早く眼科専門医を受診しましょう。
緑内障は年齢とともに有病率が上昇します。
岐阜県多治見市で行われた疫学研究では、40歳代では2%程度の有病率ですが、70歳代では10%以上との報告があります。

2. 視力低下

次に視力低下です。
冒頭でのお伝えしましたが、視力低下が指摘される場合「日常生活に支障があれば受診を」といった曖昧な表現での判定コメントが記載されている場合があります。
必ず受診するように記載されていないので、受診するか迷い、結局受診しないままの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
視力低下とは、「ぼやけて見える」「ものが二重にみえる」「眼のかすみがある」「視野に幕がかかっている」などが主な症状です。
原因は光の通り道に障害がある場合(白内障など)、網膜に障害がある場合(加齢黄斑変性や糖尿病網膜症など)、視神経から視中枢にいたる神経回路に障害がある場合(緑内障や脳の病気など)に大別されm診断には視野検査や脳の検査などがおこなわれます。
視力低下と一口に言っても原因はさまざまです。安易に放置せず、一度眼科専門医を受診することをおすすめします。

職場で気をつけたい眼の病気

最後に職場で気をつけたい、VDT作業(液晶などのディスプレイやキーボードなどのVDT危機を用いての作業のこと)による視機能の障害を紹介します。

眼の充血

充血は血管拡張・血流増加により、眼が赤くなった状態を指します。

<眼の充血対策>
充血の原因は結膜炎、ぶどう膜炎、眼精疲労などさまざま。
充血解消だけでは根本的な解決にはならない。
適宜かかりつけ医などに相談を。

ドライアイ

ドライアイは「さまざまな要因により涙液層の安定性が低下する疾患です。眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面に障害を伴うことがあるもの」と定義されています。
中年女性に多く、800万人から2,200万人の患者がいると言われています。

<ドライアイ対策>
眼を酷使したり乾燥させたりする環境に長時間いたり、コンタクトレンズの使用方法が不適切な方は仕事のやり方や生活習慣を見直す

眼精疲労

眼精疲労とは疲れ目のことです。
軽度の眼の使用で眼痛、充血、かすみ、羞明、肩こりなどの症状が出現します。

<眼精疲労対策>
定期的に休息をとる、目を酷使しない、眼を温めて血行をよくする、眼を動かしたり遠くの景色をみたりなど眼の緊張を和らげる機会を持つ。

健康診断の眼の検査で指摘を受けた方は、日常生活に支障がなくても病気が進行している場合もありますので、ぜひ一度眼科専門医にご相談ください。

<引用・参考文献>
公益財団法人日本眼科医会
・ 公益社団法人日本人間ドック学会「眼」
・ 公益財団法人長寿科学振興財団「視力低下」
・ 医療情報科学研究所編『病気がみえる vol.12 眼科』(メディックメディア、2019年6月4日)

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