同時多発テロの補償金額 収入に基づいて算出されることに遺族が反発 「ワース 命の値段」本編映像

2023年2月23日より劇場公開される、マイケル・キートンが2001年の同時多発テロの直後に約7000人もの被害者と遺族に補償金を分配するプログラムを束ねた実在の弁護士、ケン・ファインバーグを演じた映画「ワース 命の値段」から、本編映像の一部が公開された。

公開されたのは、「調停のプロ」を自認するケン・ファインバーグ弁護士が、同時多発テロの被害者遺族たちに、補償プログラムの説明会を開くシーン。ファインバーグは、収入に基づいて算出された補償金の計算式について話しはじめる。すると、遺族の一人が「全員同じ額でいい。娘の命も金持ちの命も同じだ!」と、怒りもあらわに罵声を浴びせる。テロ発生からわずか数日後、愛する人の喪失を受け入れられない遺族たちは、思いを代弁するその言葉にわき立つ。被害者の“命”を差別化することは道義的に許されることなのかという、道徳観を揺さぶるシーンとなっている。

実際の収入に基づいて算出された補償金は、55歳の会社役員で1,420万ドル(約18億8,200万円)、25歳の皿洗いの職業で35万ドル(4,640万円)と年齢と職種で大きく差が生じた。映画のモデルである実在の弁護士であるケネス・ファインバーグは、当時の状況について「事件からたった13日でこの補償プロジェクトが始まった。愛する人を失った家族は、まだお金の話はしたくない、この事件に対して感情を吐き出せる場が欲しいのだと感じた」と振り返っている。

「ワース 命の値段」は、アメリカを襲った未曽有の大惨事である同時多発テロの発生直後に、約7000人ものテロ被害者と遺族に補償金を分配する国家的な大事業に挑む人々を、実話を基に描いた作品。このプログラムを束ねる弁護士ケン・ファインバーグ(マイケル・キートン)は、「年齢も職種もバラバラの被害者たちの”値段”を、どうやって算出するのか」「彼らの“命”を差別化することは、道義的に許されるのか」など、前代未聞の難題に直面する。被害者遺族それぞれの苦悩と向き合い、厳しい批判にさらされながらも、使命に立ち向かった弁護士たちの2年間の軌跡が描かれる。

原案となった回想録「What is Life Worth?」の著者である弁護士のファインバーグと意気投合したキートンは、主演とプロデューサーを兼任。計算機のようだったファインバーグが、遺族の声に耳を傾けて変わっていく姿を体現している。ほかに、スタンリー・トゥッチ、エイミー・ライアンらが顔をそろえる。監督は、「キンダーガーテン・ティーチャー」で、2018年サンダンス映画祭の監督賞を受賞した女性監督サラ・コランジェロ。脚本は、2008年に書き上げた本作で高い評価を受け、「GODZILLA ゴジラ」などの大作に抜擢されたマックス・ボレンスタインが務めている。

【作品情報】
ワース 命の値段
2023年2月23日(木・祝)、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給:ロングライド
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