封建社会に生きる女性たちの生き様を描き出す力強いドラマ「清越坊の女たち」二人のヒロインに注目!

清朝・乾隆帝時代が舞台となるドラマ「清越坊の女たち〜当家主母〜」は、経済・文化の中心地・蘇州で伝統織物の技術を受け継いでいく女性たちが主人公の物語。
登場するヒロイン沈翠喜と曽宝琴は性格も正反対で正妻と妾として対立します。彼女たちが、宿敵からかけがえのない存在となっていく波乱万丈の展開とは?

二人のヒロインを中心にドラマは熱い感動が満載。観る前の予習、観た後の復習に押さえておきたい見どころをご紹介します。


物語の冒頭は正妻の沈翠喜が夫・任雪堂と妾の曽宝琴が逢い引きする別宅に乗り込んでいくという緊迫のシーンから始まります。

“よくできた正妻”と“甘え上手な妾”が夫を巡って争うのは、中国時代劇ではよくあるストーリー。でも、本作はこの2人が一緒に育った幼なじみ同士というのがドラマを面白くしているポイントです。

中国語で“青梅竹馬”と表現される幼い頃からのお似合いのカップルなのは、任雪堂と曽宝琴。屈託のない心を持ちセンスも合う2人は、ラブ史劇なら引き裂かれながらも初恋を貫く主人公カップルでもおかしくない設定です。

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沈翠喜もかつてはそんな2人をそばで見守ってきましたが、彼らの駆け落ちを土壇場で阻止することになりました。なぜなら、清代の封建社会にあって現実はそうロマンティックには行きません。当時、任家は没落する曽家と一緒に泥をかぶるわけにはいかなかったのです。

そして今、一度卑しい身分に落ちた曽宝琴は科挙試験で出世を目指す任雪堂にとって足手まといで、常に任家を守ることを考える沈翠喜は曽宝琴の存在を許すわけにはいきません。

一方、曽宝琴の方は任雪堂との仲を知りながら何度も自分の恋路の邪魔をしてくる沈翠喜が、手ひどい裏切り者としか思えません。しかも、ある日突然全てを奪われた辛い経験がトラウマとなって不安から抜け出せない曽宝琴は、何の保証もない妾の身分では任雪堂の愛だけが頼りだと考え、あざとい手練手管を使ってでも彼を失うまいとするのです。

こうして子供の頃のままの無邪気な友人ではいられなくなってしまった沈翠喜と曽宝琴による、争いと葛藤のドラマが展開していくことになります。


TEXT: 小酒真由子(フリーライター)

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