医療従事者への暴力 被害どう防ぐ 岡山県警、診療所で対応訓練

ナイフを出して大声を上げる男に対応するスタッフ

 岡山県警は15日、岡山市内の診療所で、医療従事者に対する暴力被害を防ぐ訓練を行った。ナイフを持った犯人から患者や職員を守るための流れを確認した。

 医療従事者への暴力被害を巡っては、2021年12月に大阪・北新地のクリニックが放火され医師や患者ら26人が死亡したほか、22年1月に埼玉県ふじみ野市の住宅で医師が散弾銃で撃たれ殺害された。日本医師会が警察庁に安全確保の対策を依頼し、今回、岡山県警と県医師会が訓練を企画した。

 神崎皮膚科(岡山市北区平和町)であった訓練では、受け付けで男が突然、「はよ診ろ」と大声を上げてナイフで脅迫。スタッフが話を聞いている間に看護師が鍵がかかる診察室に患者を避難させた。診察室にいた神崎寛子院長が110番し、駆け付けた警察官が男を確保した。

 県警犯罪抑止対策室の伊藤岳大室長は「警察が来るまでの間に命を守る行動を最優先で取って」と助言。県医師会副会長を務める神崎院長は「クリニックの多くはプライバシー確保のため、受け付けと診察室が互いに見えず、事件が起きても様子が分からない。防犯上の課題を整理して備えたい」と話した。

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