ポルシェ、将来ライバルになりえるLMDhカスタマーに対し情報を提供。2024年に車両追加の可能性も

 ポルシェ・モータースポーツのボスであるトーマス・ローデンバッハによると、ポルシェは初期のLMDhカスタマーチームと協力し、車両と新システムを使いこなすための作業のスピードアップを図っているという。

 ドイツのメーカーは、4月下旬までに4台の『ポルシェ963』をプライベーターチームに納入する予定であり、JDCミラー・モータースポーツ、JOTA、プロトン・コンペィテションの3チームは、2023年の前半までにWEC世界耐久選手権、またはIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でのレースデビューを目指している。

 ローデンバッハはSportscar365に対し、「我々は、彼らにできる限り多くの情報を提供しようとしている」と語った。

「実際にテストに招待し、クルマの組み立てをサポートするよう呼びかけた」

「私たちは、彼らがマシンを手に入れるよりも前に、クルマが来てすぐにスピードアップできるよう、プログラムについて知る機会を与えようとしているんだ」

「我々は自分たちの(ファクトリー)プログラムを走らせているので、これは決して簡単なことではないが、カスタマーとの関係を保つために本当に努力している。つねに彼らとコミュニケーションをとり、持てるものすべてを提供している」

 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(PPM)のファクトリーチームから顧客への情報伝達のレベルについて尋ねられたローデンバッハは、「かなりオープン」であるとしながらも、100%オープンな状況ではないことを示唆した。

 同氏は「ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツがカスタマーチームと競争する日がいつかあるので、ある程度は注意しなければならない」と述べた。

「だから、私たちは気をつけなければならないが、それでも全体として我々は本当にオープンだし、彼らに準備のためにあらゆることをしている」

 ローデンバッハは、LMDhカーの納入がシーズン半ばになることを「理想的な状況ではない」と認めつつ、チームがマシンを受け取る順番を戦略的に決めていくと述べた。

「彼らはマシンが完成すれば、すぐに受け取ることになる。普通であれば先着順だと思うだろう。しかし、彼らにとってどのレースが最初に到達できるかを考慮したい」

「これはチームと一緒に決めることだ。もちろん、最終的に我々の手に委ねられるが、チームと話し合い私たちがどのように管理できるかを確認する。これは非常に協力的なことで、本当に良い基盤になっているんだ」

 プロトンチームのボスであるクリスチャン・リードは以前Sportscar365に対し、ポルシェ963での初レースに乗り出す前に必要なテストのレベルのため、ル・マン24時間レース後にマシンをデビューさせることになるかもしれないと語っていた。

■2024年に向けてカスタマー向け車両をさらに「納車する用意がある」

 ローデンバッハは、ポルシェが顧客の需要に基づいて今後の配分を最終決定するが、早ければ来年までにカスタマーカーを追加で供給できる可能性を示唆した。

「意図的とは言わない」と彼は言った。「ビジネスケースではないのだ。あくまでカスタマースポーツが大事だからやっている。我々がいつもやっていることだ」

「いまは誰もが熱狂している。素晴らしいことだし、こうしてたくさんのブランドがある。しかし、この状態が永遠に続くわけではない。トップレベルにカスタマーカーがあることに皆が喜ぶ日がくると思う」

「私たちまた、安定したプラットフォームを手に入れ、このスポーツをプッシュしていくことにも興味をを持っている。なぜなら、それが我々のDNAだからだ」

「もし、ポルシェでレースをしたいという顧客がいれば、我々はそれを提供する用意がある。しかし、必ずしもそうしなければならないとは言えない。なぜなら、それはビジネスケース上の見込みのためではないからだ。」

 2024年にポルシェが追加のマシンを用意できるかという質問に対して、ローデンバッハは、最初のカスタマー展開の様子を見たいと述べた。

「2023年のチームがうまく進めば、さらに多くのチームへの扉が開かれるかもしれない」

「もし2023年のチームが間に合い、彼らがある程度のサポートを受けて自分たちでマシンを走らせることができ、それに加えてあらゆることに対処できるようになれば、追加のクルマを考える時期になると思う。それが2024年になるかもしれない」

2023年にカスタマーに供給されるポルシェ963は全部で4台だ

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