Androidスマホも衛星通信対応へ「Snapdragon Satellite」発表

【▲ Snapdragon Satelliteのイメージ画像(Credit: Qualcomm)】

2023年1月5日、Iridium Communications Inc(以降、イリジウム). と Qualcomm Technologies, Inc (以降、クアルコム)は、 Snapdragonモバイルプラットフォームを搭載したスマートフォン向けに、衛星通信による「衛星メッセージ」と「緊急通報(エマージェンシー・サービス)」が可能になるサービスの提供に向けた契約を締結したと発表しました。サービスの名称は「Snapdragon Satellite」で、クアルコムがイリジウムの衛星コンステレーションを介して2023年に提供を開始する予定です。

衛星コンステレーションとは、中・低軌道に打ち上げた多数の小型衛星を連携させて一体的に運用する運用方式の一つです。衛星は高度約3万6000kmの静止軌道よりも低い軌道に配置されるため、静止衛星と比べて通信の遅延時間を短縮できますが、構築には数百~数千もの衛星を必要とします。また、周回衛星を利用することにより、世界全域の陸上・海上・航空機上で緊急時や平時を問わず、高速大容量通信などのサービス提供が可能になります。

イリジウムが運用する衛星コンステレーションは高緯度地域もカバーしているため、これまで電波の利用が困難だった極地を含む全世界で利用可能です。さらに、イリジウム社の衛星コンステレーションを構成する衛星では耐候性が高いLバンドの波長帯が採用されているため、天候に左右されにくい点も特徴です。

Snapdragon Satelliteは、2023年後半から一部の地域で発売されるハイエンドAndroidスマートフォンから提供が開始される予定です。

2022年10月4日に発表された Soracom のプレスリリースによると、世界における携帯電話の利用可能な地域は、人口比で約90%の領域をカバーしていますが、基地局がカバーしている面積は地球全体の15%に過ぎず、世界の約85%の地域には携帯電話の電波が届きません。

一方、Snapdragon Satelliteに対応したスマートフォンであれば、地球上のどこでも空の見える場所からグローバルな通信エリアにアクセスして、緊急メッセージの送信や、親しい人たちとのテキストメッセージのやりとりが可能になります。

発表ではSnapdragon Satelliteについて、特定の通信会社や端末メーカーに限定せず、様々なスマートフォンで利用できるようになる予定だとされています。また、将来的にはスマートフォンだけでなく、他のコンシューマーデバイスにも対象が拡大する可能性があるということです。

Source

  • Image Credit: Qualcomm
  • Iridium \- Iridium and Qualcomm Collaborate to Support Satellite Messaging in Smartphones
  • SORACOM \- Soracom Adds Native Satellite Support to Global IoT Connectivity Platform

文/Yumi Miura

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