投資対象となる【資産の種類】それぞれの特徴を東大卒の億り人が解説

投資対象となる資産には、さまざまな種類があり、リスクとリターンも変わってきます。

そこで、東大卒の専業投資家・東大ぱふぇっと( @utbuffett )氏の著書『東大卒億り人が考案したロジカル株式投資 市場平均を超えるリターンを手に入れる超合理的な方法』(SBクリエイティブ)より、一部を抜粋・編集して「それぞれの資産の特徴」について解説します。


【登場人物】

株式、不動産、債券……それぞれの資産の特徴

ダナハーちゃん「リスクを取るべき場合」と「リスクを下げるべき場合」についてはわかったんだけど、リスクを下げたいときってどうすればいいの?

東大ぱふぇっと高リスク資産である株式だけでなく、低リスク資産である債券やゴールドや現金をポートフォリオに加えるとよいですよ。具体的によく使われる資産とその特徴を紹介していきますね!

資産運用には "アセットクラス" という考え方があります。 投資対象資産を大きなくくりで分類したときの資産の種類 のことを意味します。伝統的なアセットクラスとしては、株式・不動産・債券・貴金属(特にゴールド)・現金の5 つが挙げられます。

もっと細かくいえば、美術品、石油、砂糖、小麦などいろいろありますが、細かくなるためここでは割愛します。

長期で見るなら基本的には、株式へのフルインベストメントが正義となりますが、さまざまな事情により、一定の低リスク資産を持ったほうがよい場合は往々にしてあり得ます。

高リスク高リターンの「株式」の特徴

株式は、高リスク高リターン資産ですね。

資産を増やすための運用において中核となるものです。基本的には、株式へなるべく多くの割合を割くようにしましょう。

株式の中にも当然ながらいろいろな種類がありますが、 強く推奨するのはインデックスに連動した投資信託やETF です。

ETFは「投資信託」のひとつです。投資信託とETFは同じような特徴を持っていますが、最大の違いは、投資信託が株式市場で売り買いできないのに対し、ETFは株式市場で売り買いできるという点です。ここではざっくりと、 ETFは「株式市場で売買できる投資信託」 と覚えておきましょう。

ETFもある「不動産」の特徴

投資用マンションのような現物の不動産購入ではなく、 「ペーパーアセット」として不動産のETF を買う方法があります。不動産を株式のように売買することが可能なのです。

ペーパーアセットとは、株式・債券といった有価証券のことを指します。ゴールドの投資信託や不動産の投資信託も存在するため、ペーパーアセットでゴールドや不動産に投資を行うことも可能です。現代では電子化されており、ネット証券を通じて簡単・気軽に売買が可能ですね。

一方、ハードアセットとは、投資用マンションなどの現物不動産、ゴールドの地金、さらに美術品や石油、砂糖など実物としての資産です。ペーパーアセットと比較して気軽な売買には向かないため、ここでは扱いません。

投資用マンションなど現物の不動産を購入するには、情報収集から物件調査、リフォーム、満室にするためのノウハウなどが必要なため、多くの方々にとって非常に困難でしょう。

ウェルスナビではペーパーアセットとして不動産ETFが採用されていますし、若干程度の不動産を保有することはリスクに対するリターンを伸ばす効果が期待されます。

ただし、株式との相関が強めであり、株式同様に不景気になると売られやすいことにはくれぐれも留意しましょう。

運用額が1000 万円を超えてきたら5% 程度の不動産ETF を保有する手はありますが、 面倒であれば株式100% でもいいでしょう。

低リスク低リターンの「債券」の特徴

債券は、低リスク低リターン資産となります。リスクが比較的小さく、安定したリターンが望めます。基本的には景気が悪化して株式が売られる局面において、債券価格は向上しやすいという傾向にあります。ただし、あくまでも傾向にすぎません。

実際に、コロナショックでは株式と債券が同時に下落しました。伝統的には債券は安定していたものの、今後どうなるかは難しいところですね。中核に据えるのは難しく、あくまでも 株式のリスクヘッジ という立ち位置ですね。

債券を組み入れるのであれば、「AGG」や「BND」(いずれも米国の優良債券に分散投資しているETF)のように、債券の残存期間が違う米国国債や社債にバランスよく分散されている債券ETF がおすすめです(「AGG」はウェルスナビでも採用されています)。

ただし、社債は金融危機のときには下落する傾向にあります。

安全資産の「ゴールド」の特徴

ゴールドは 価値を保存する石です。

率直に言ってゴールドを持っているからといって、基本的には何も生み出しません。ゴールドを1kg保管していたら10年後に2kgになっているでしょうか? あり得ないですね。配当も全くありません。

株式や債券や現金といった、そのほかの商品の価値の上下により、相対的にゴールドの価値が上がったり下がったりするだけですね。

いわゆる「安全資産」としては最もよいものになるでしょう。

みんなが「価値がある」と思っているものに対し、価値が生まれるのですから。みんなが安全資産だと思っているものに対して、安全資産としての価値が生まれるのです。ただし、実際には安全資産というよりも 「低リスク資産」 と言ったほうが正確であることには留意しましょうね。

ゴールドを保有する場合は、投資信託やETF が便利でしょう。ウェルスナビでは「GLD」というETF が採用されていますね。基本的にはGLD を推奨しておきます。

投資信託であれば、純金上場信託(現物国内保管型)(銘柄コード1540)という手もありますね。

第三次世界大戦など本当に有事の際にはゴールド(金塊や装飾品など)を現物で買って自宅の地下にでも埋めたほうがいいのかもしれませんが……。

株式だけでなくゴールドを買う意義

伝統的に用いられてきた資産クラスは「株式・債券・ゴールド・不動産(と現金)」ですね。ウェルスナビ的なポートフォリオです。

長期リターンは株式が最もよいので、基本的には 株式を中心にポートフォリオ を組むといいと思います。ただし、リスク分散も兼ねて東大ぱふぇっとはゴールドへの投資も行っています。

ゴールドを買う意義を一言でいうと、 「ドル安で儲かるポジションを取る」 ということです。現在、新型コロナによる金融緩和でドルが大量に刷られているので、基本的にドルは安くなっていく素地があるでしょう。すべての米ドルの約20% は2020 年以降に発行されています。当然ですが、お金の量が増えれば、お金の価値は下がります。お金の価値が下がったら、同じゴールド1kg を買うにしてもたくさんのお金が必要になります。つまり、ゴールドの価格が上がるのです。「ドル安で儲かるポジションを取りたいが、株式100% は怖い」という人はゴールドを買う価値があるでしょうね。

日本円である「現金」の特徴

資産額が数億円に達しているのであれば、世界各国のさまざまな通貨を保有する手もありますが、ここでは基軸通貨であるドルと、生活費を支払う通貨である「日本円」について言及します。

この読者は、基本的に米国株式への投資を中心に行う投資家でしょうから、資産の大部分を米ドルに依存していることになります。すると、 強いて「米ドルへの投資」をする必要はない でしょう。

以下、ここでは「現金=日本円」として述べていきます。

日本で暮らし、税金の支払いを行っている場合は、基本的に日常生活において日本円を使って物やサービスを買うことになります。その意味において、日本円は非常に重要な資産となります。

いくら 株価が暴落しようと、日々の生活を営むためには日本円が必要 です。その分は極力キープすべきです。これこそが 生活防衛資金 と呼ばれるものですね。

現金を銀行に預金しても、ご存じのように超低金利時代ですので、一般的には現金が価値を生むとは考えにくいですね。

推奨するポートフォリオのまとめ

資産形成期において、基本的には 「株式へのフルインベストメント+生活防衛資金としての日本円」 というポートフォリオを推奨します。

一定の生活防衛資金は極力持つようにしましょう。「株式を買いすぎた上に暴落が重なったので住宅ローンを払えない」とかは絶対ダメですよ!

結婚式を挙げたい、家を買いたい、残りの運用期間が短いなどがあり、ある程度の低リスク資産を保有したい場合には債券やゴールド、現金を保有するとよいでしょう。

株式保有比率を変えるための5つの手法

ダナハーちゃんどういうときにリスクを下げたほうがいいいのかわかったし、どういう資産が低リスク資産なのかもわかった!

東大ぱふぇっとここからは、具体的にどのようにリスクを管理するのかを解説していきますね。東大ぱふぇっと流の時間分散の概念を用いた「出口戦略」についても解説していきます!

リスク管理の2つの方法

株式は高リスク資産 であり、 債券やゴールドや現金は低リスク資産 ですね。このため、基本的には「株式と株式以外の資産」の比率を調整することがリスク管理の主な手法となります。

また、株式の中でもリスクの高い株式とリスクの低い株式が存在したり、なるべく世界中の株式に分散してリスクを減らしたり、 投資する株式の内訳を調整することでリスクをコントロール することもできます。

まずは、1つ目の「株式と株式以外の資産」の比率を調整する手法について、次に2つ目の「株式自体のリスクの調整」について述べていきますね。

株式と株式以外の資産

リスクを下げるべき状況下では、まずは低リスク資産の割合を増やすのがいいでしょう。

具体的な手法は、以下のものが考えられ、順番に見ていきましょう。

(1)株式を売却して現金化する
(2)株式を売却して債券やゴールドを購入する
(3)積立投資を一時的に停止して日本円の預金を増やす
(4)積立投資対象を債券やゴールドに切り替える

(1)株式を売却して現金化する

真っ先に思いつくのは、株式の売却でしょう。

自身のリスク許容度が変化した場合は、株式を売却するべきです。

ただし、このときに重要なのが 「含み益に対しては20% 程度課税される」 という点です。税金は売却時に即支払わなければいけないので税金の分、運用元本が減ってしまいます。売却せず利益を確定しなければ、税金支払いは将来に繰り延べられますので、その分大きな元本で運用を続けることができ、複利の恩恵を受けることができます。

つまり、 含み益の約20% を複利運用し続ける権利を失う機会損失も考慮 する必要があります。

(2)株式を売却して債券やゴールドを購入する

この場合も先の例と同じように、 含み益の約20% を複利運用し続ける権利を失うという機会損失 も考慮しなくてはいけません。

運用期間の後半においてはゴールドや債券などの低リスク資産を持ちたいと考えている場合は特にこの手段を取りがちでしょうが、税金支払いを繰り延べして複利運用できる権利を失ってしまうことを意識しましょうね。

(3)積立投資を一時的に停止して日本円の預金を増やす

この手段は往々にして忘れがちなので注意が必要ですね。一般に、含み益が出ている株式を売却すると含み益の約20% を税金として徴収されてしまいます。投資信託以外の場合は売買手数料もかかります。

すると、 わざわざ株式を売却して税金と売買手数料を払うよりは、積立投資を一時的に停止して現預金を増やすほうがいい のです。

(4)積立投資対象を債券やゴールドに切り替える

株式を売却して債券やゴールドを購入するのに比べて、含み益が出ている株式の税金支払いを繰り延べできる分だけお得です。運用期間の後半において債券やゴールドを保有したい人は、運用期間が経過するにつれて徐々に債券とゴールドの積立を開始する手がありますね。

これらを踏まえると、株式保有比率を調整して低リスク資産を増やす際には、 なるべく(3)か(4)の手段を用いるべき でしょう。

株式自体のリスクの調整

上述のような 「株式と株式以外(低リスク)の資産の比率」 だけがリスク調整だと思っている方々もいらっしゃることと思います。

ところが、株式のみに絞った場合でも、リスクが高い手法とリスクが低い手法が存在します。

「リスク」にはさまざまな意味がありますが、ここでは「危険性」「将来への不確実性」といったフワっとしたニュアンスで大丈夫です。

・銘柄数はなるべく分散されているほうがリスクは低い。個別株式はリスクが高い
・米国一国集中ではなく、先進国各国や新興国など全世界に分散されているほうがリスクは低い

このような理解で大丈夫です。

投資対象を絞れば絞るほど、リスクは上がると考えられますね。

リスクを下げたくなるのに従い、投資対象を広げていき、例えば米国以外の株式を購入するなどが考えられます。

2つの分散投資、リスク管理手法のまとめ

リスク管理手法は、大きく分けると以下の2つがあります。

まとめ

(1)低リスク資産の比率を増やす

(2)株式の投資対象をより分散する

下の図のように、株式そのものを減らして債券やゴールドを増やすのが(1)のパターンです。

【図表1:(1)低リスク資産の比率を増やす】

また、下の図のように、米国一国集中ではなく世界各国の株式を買うことで「米国だけが没落したときのリスク」を回避できるわけですね。これが(2)のパターンです。

まあ当然ながら、世界各国への分散と、債券やゴールドの導入を組み合わせても構いません。例えば、次ページの図3のようになるでしょう。

世界各国の株式への分散投資と、債券&ゴールドの保有ですね。まさにこれこそが、ウェルスナビが行っている「王道の資産運用」というわけです。

基本的なリスク管理手法は、以上となります。

【図表2:(2)株式の投資対象をより分散する】

【図表3:(3)世界各国への分散、債券やゴールドを導入する】

東大卒億り人が考案したロジカル株式投資 市場平均を超えるリターンを手に入れる超合理的な方法

著者:東大ぱふぇっと
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