カネミ油症「未認定患者」 長崎県が独自調査へ 新年度にも実施目指す

カネミ油症被害救済を巡り、大石知事(手前)に次世代を含む未認定患者の救済などを求めた旭梶山会長(右から2人目)ら=県庁

 長崎県などに被害者が多いカネミ油症事件を巡り、大石賢吾知事は15日、事件後に生まれた次世代被害者を含む未認定患者らについて県独自の実態調査の実施を検討する考えを示した。2009年度に全国で初めて行って以来で、早ければ新年度中の実施を目指す。未認定患者数などを改めて把握し、油症検診の受診呼びかけなどに生かす。
 同日、県庁を訪れた被害者団体「カネミ油症被害者五島市の会」(旭梶山英臣会長)など県内3団体からの要望に答えた。
 県生活衛生課によると、09年度調査は県内の未認定患者の掘り起こしが目的で、過去の被害届などを基に未認定とみられる約2500人を抽出。死亡者や連絡が取れない人を除き、未認定患者350人の生存を確認した。原因の汚染油を食べた場所や時期、健康状態なども調べた。
 今後、被害者の意見も踏まえ、新たな実態調査の具体的内容を決める。
 現在の油症認定の診断基準は、汚染油に混入していた原因物質ダイオキシン類の血中濃度を重視。ただ、次世代はさまざまな疾病があっても血中濃度は高くない人が多く、大半が未認定となっている。同会などは知事への要望で「県内では油症2世を含む多くの未認定被害者が取り残されている」と指摘。診断基準の改定や、認定患者の子からの申請は原則油症認定することなどを国に求めるよう要望した。


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