対策は日当たり向上 光丸うすいの課題解決で報告

「光丸うすい」の研究成果を発表する宮前治加さん(15日、和歌山県御坊市塩屋町で)

 エンドウの有力品種として期待されている「光丸(みつまる)うすい」の栽培技術の確立に向けた研究結果が、和歌山県御坊市塩屋町の県農業試験場暖地園芸センターで15日に開かれた研究成果発表会で報告された。重要な課題となっている品質向上について、日光が当たる条件を良くすることで実を大きくするなどの対策が示された。

 エンドウの種類の一つで、実を食べるウスイエンドウはみなべ町や印南町など日高地方が日本一の産地。そこで変異個体により誕生した「光丸うすい」は節間と草丈が短いのが特徴で、収穫などの作業がしやすいといった優位性がある。一方で、市場価値が高いシーズン初期の収穫量が少ないことや、主力品種の「きしゅううすい」と比べてさやがやや小さいことが課題となっている。

 同センターは、課題解決に向け2020年度から3年計画で研究を続けてきた。研究成果発表会では研究員の宮前治加さんが報告した。

 さやを大きくして品質を高めることについては「苗を植える間隔を空け、さやに日光を当てることで、よく育つようになる」と説明。試験栽培で、日当たり条件が良いさやと悪いさやを比べたところ「良いさやの方が成熟までの日数が短く、正常に肥大する実の数が多かった」という。さらに植える密度を3段階に分けて比較したところ「密度が低いほど1株当たりのさやの数が多く、肥大も良かった。収穫量と品質の両面を考えると、1メートル当たり10本植えるのがベストだ」とも説明した。

 日中のハウス内温度を20度で管理することで、正常に肥大する実の数が多くなることも示した。

 シーズン初期の収穫量を増やすための対策としては、気温が低い時季に採った種を早い時季にまき、開花を早めるために電照時間を長くすることで一定の効果を得られることが分かっており、この日の発表会でも報告した。

 今後は成果をまとめたマニュアルを作成し、産地での普及を目指したいという。

 研究成果発表会では「エンドウさび病の発生生態と防除対策」「イチゴ『まりひめ』の栽培期間を通した高品質安定生産技術開発」などについても報告があった。27日~3月27日に動画共有サービス「ユーチューブ」でも配信する。

節間と草丈が短いのが特徴の「光丸うすい」(左側)。さやを大きく育てるのが課題の一つ=和歌山県みなべ町で

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