大分トリニータ 中盤を制しスタートダッシュ狙う 【大分県】

大分トリニータの出帆を告げる開幕戦が19日に控えている。全試合数に対する「42分の1」とはいえ、やはり開幕戦は、当事者たちにとっては特別な試合だ。お祭りのような雰囲気に包まれた空間で、テンションを高く保ち、チーム始動から約6週間の成果を披露する。下平隆宏監督は「いい準備ができた。チームに一体感がある。あとは結果にどう結びつけるか。運気をつかみたい」と口ぶりにも自信が漂う。

下平体制2年目を迎え、標榜(ひょうぼう)するサッカーは変わらない。GKを組み込んだ最終ラインからしっかりとパスをつなぎ、中盤の底に位置する「ボランチ」を経由して、サイド、前線へとボールを運ぶ。今季は、攻守のかじ取り役となるボランチがポイントになりそうだ。昨季の途中から先発に定着した20歳の弓場将輝を軸に、コンビを組む相手を選ぶことになる。新加入の池田廉が最有力候補であったが、けがで離脱。サイドからコンバートした野嶽惇也、ウズベキスタンで開催されるU-20アジアカップに向け、U-20日本代表メンバーに選手された保田堅心が有力だ。

開幕戦に向けて戦い方は浸透している

練習試合で、相性の良さやバランスを見極めるために組み合わせを替えて試行した。下平監督の求めるボランチ像にはポイントが二つあり、一つが守備において前線の選手を操れるコーチングとボール奪取力。二つ目が攻撃の組み立てとゴール前に顔を出すこと。下平監督は「二つの条件を持つ2人を並べたい」と選考基準を示す。

相手の攻撃の芽をつぶすだけでなく、ボールを奪った後、リズムを作るために少ないタッチで周囲の選手にボールを預けることもあれば、キープしてFWへ長いボールを展開していくこともある。このように選手が低い位置から試合を組み立てることで、攻撃のバリエーションが増え、リズムも変えられる。敵の間隙(かんげき)も突きやすくなる。昨年から好調を維持する弓場は「誰と組んでもいい関係を築けている。守備の部分に不安はない。ゲームメークの部分に多少の不安はあるが、開幕戦はあいさつがわりの一発でその不安をかき消したい」と豪語する。スタートダッシュを決め込み、自信をさらなる強化につなげたい。

開幕ゴールを狙う弓場将輝

(柚野真也)

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