「戦時体制へ一歩」「国会にだけ任せていたら沖縄が戦場に・・・」国会で沖縄の大学教授が指摘したこと

 【東京】沖縄国際大の前泊博盛教授が16日、衆院予算委員会公聴会の予算質疑に公述人として出席し、政府が「台湾有事」を見越して米国と連携して進める防衛予算の増強について「戦時体制の予算編成が第一歩を踏み出している」と指摘した。沖縄を含む南西諸島の防衛力強化について「沖縄での局地戦を展開する準備を進めるかのような印象を受ける」と警戒感を示した。

 衆院予算委は、防衛予算の増大が顕著となっている2023年度の予算編成で影響を受ける沖縄の代表として前泊氏に公聴会への出席を求めた。

 前泊氏は、政府の防衛強化方針の根幹となる安全保障関連3文書が閣議決定された点を「国会にだけ任せていたら沖縄が戦場にされかねない」と問題視した。米中対立に巻き込まれるリスクが増大している点を踏まえ、公述人の川上高司拓殖大教授が「日本と中国の独自の話し合いも必要」とした点に賛意を示し、外交力向上の必要性を訴えた。

 復帰50年の節目となる22年度予算で沖縄関係予算が軍事費の増大と反比例して急落した点も指摘。インフラ整備のための予算が本土企業に環流する「ザル経済」の問題も挙げ、「政策に反映される額についても検証が必要だ」と述べた。

 (安里洋輔)

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