12歳の白人少年の黒人生徒とのささいな悪さがもたらす一家騒乱 「アルマゲドン・タイム」予告

5月12日より劇場公開される、「エヴァの告白」「アド・アストラ」などのジェームズ・グレイが製作・監督・脚本を務めた映画「アルマゲドン・タイム ある日々の肖像」の、予告映像が公開された。

映像は、「今こそアメリカの理想を実現させる時です」という、冷戦の緊張が高まる1980年代当時のアメリカの空気感を象徴するような、レーガン大統領の演説から始まる。続いて映し出されるのは、アメリカン・ドリームに夢をはせるある一家の日常風景。「芸術家になりたい」と無邪気に将来の夢を語る子供ポールに、「望めば何にだってなれるさ」と無条件で応援する祖父アーロン。そんなどこかのんきな2人に対して、「大学だけは行って」と小言をいう現実的な母エスター。だがある日、親友とのささいな“悪さ”が発覚したことをきっかけに、ポールの日常が少しずつ変化していく。

そして、息子へ過大な期待を寄せ続ける母と、尊大だと思っていた父がもらす切ない本音、そして、社会で生きていくために“差別”に声を上げられないポール。「高潔に生きろ」という祖父ポールの願いとともに、家族のきしみ、ままならない人生の苦みを少しずつポールは受け入れていくことになる。祖父を演じるアンソニー・ホプキンスの優しく、時には厳しく少年を”ただしい道”へと導いていこうとする様子や、母親を演じるアン・ハサウェイのポールを愛するがゆえに過干渉してしまう姿なども映し出されている。

あわせて公開された本ポスターでは、少年ポールと彼を取り巻く家族や親友との関係が描き出されている。アン・ハサウェイがポールに額を寄せる姿や、アンソニー・ホプキンスが孫のポールに語りかける写真が使われる一方で、不穏さも感じさせるちぎり絵のようなコラージュデザインで、ポールとその家族の苦くも愛にあふれた日々の積み重ねが表現されている。

「アルマゲドン・タイム ある日々の肖像」は、グレイ監督の実体験を元にした自伝的作品で、12歳のポールの出来心が一家の騒乱を招く物語が描かれる。差別と格差が根強い1980年代のニューヨークを舞台に、多感で繊細な12歳の少年ポールがつちかっていく友情、そして微妙な変化を迎える家族との関係を通して、時代を取り巻く理不尽や不公平を浮き彫りにする。同時に、生きづらさのなかににじむ理解と愛に寄り添い、自分の無力さを噛みしめながら、世の中に折り合いをつけながら日々を営む人々の姿を、変わらぬ愛と変わりゆく自分を通して見つめた作品となっている。

ポール役を務めるのはバンクス・レペタ。母エスターをアン・ハサウェイ、父アーヴィングをジェレミー・ストロング、祖父アーロンをアンソニー・ホプキンスが演じる。

【作品情報】
アルマゲドン・タイム ある日々の肖像
2023年5月12日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
配給:パルコ ユニバーサル映画
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