こんにちは。現役キャンプ業界人YouTuberキャンプレンジャーです。今回は「ホームセンターのキャンプ用品はなぜコスパ最強なのか」というテーマでお話しします。最近ホームセンターのキャンプ用品、特にプライベートブランド(PB)といわれる自社ブランド品がコスパ的な意味でとてつもない盛り上がりを見せています。その理由を過去の経験と業界の色々な人から聞いた情報から分析をしてまとめてみました。
PB(プライベートブランド)とは?
まずはじめに大前提としてPBとは何かというところをご説明しておきます。
全国的に有名なメーカーのブランドをナショナルブランド(NB)という。
これに対して大手卸・大手小売りチェーンが開発したブランドをプライベートブランド(PB)と呼ぶと定義がされています。
コメリさんだとナチュラルシーズン、コーナンさんだとサザンポート等ブランド名が付いており、要はショップが自社で開発して直接販売している商品ということです。
PBはキャンプ業界に限らず大手量販店等でも当たり前に行われている販売戦略の一つです。
NB商品と比べると「価格競争力がある」・「利益が取れる」・「品揃えの差別化ができる」ところがPB商品のメリットとして挙げられます。
商流と体制の強化
ホームセンターのキャンプ用品のPBは、以前まではOEM(開発委託)で日本の別の法人に生産を委託するというケースが多くありました。
しかし、近年のキャンプブームもあってか開発体制を強化されていて、最近ではこのOEM業者を使わない方針になっています。
そのため商品原価の構造として中国工場から日本のOEM業者を通してホームセンターに入っていたものが、中国工場から直接ホームセンターに入っている。
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ということで中間マージンがなくなったというのが近年注目されるコスパの良さという点の一つかなと考えております。
スケールメリット
次にスケールメリットが出せるという点です。つまり、発注数量が多いので安く仕入れができているということです。
例えば新たに商品開発をしたとします。
大手のメーカーであれば販売先店舗数が多数あるので、1シーズンの在庫として1万個くらいの発注ができるかもしれません。
かたや、販売先が少ない中小メーカーになるとMOQ(最低発注数量)をこなすのがいっぱいいっぱいで1回の発注数量は1000個以下になるのではないでしょうか。
こうみると数が10倍ぐらい変わってくるので、もちろん数量の多い方が仕入原価が安くなるというのはなんとなくわかりますよね。
では、ホームセンターのPBの場合どうなのか。結論をいうと大手の法人であれば前者と変わらない数量で発注ができています。
例えば店舗数の多いナフコさんは今全国で363店舖(2022年12月末現在)の展開があります。
1店舗で月間10個売れる商品があったとして、1ヶ月の必要在庫数は3700個。
商品の生産のリードタイムを考えると最低でも3ヶ月分くらいは在庫数が必要になるので、月間3700個売れる見込みの商品なのであれば、1回のオーダーで1万個を出すというのはおかしくはない状態です。
つまり大手メーカーと同じくらいのボリュームでの発注ができ、中小メーカーのように販売までに関わる人件費等の間接費用がそこまで発生しないので、ボリュームとコスト双方の面でかなり効率が良いという状態になっているということになります。
原価率の考え方
商流を見直してそもそもの仕入れ原価も安くなっている今の状態をさらに後押ししているのが、この原価率の考え方です。
実際のところ、PB商品でも安売りしてるところが実態です。
例えば5千円で作れる商品があったとしてこれをメーカーは6千円で小売店に卸します。
そうすると1万円の売価で店頭に並ぶというのがキャンプ用品における一般的な商流です。
これをホームセンターのPBは5千円で商品を作りました。では8千円で売ろうということをやっているわけです。
同じ製造原価で作れる商品でもこの時点で両者の流通価格は20%ほど違ってくるので、やはり同じようなスペックの商品でも既存メーカーのものに比べるとホームセンターのPBの方が安く感じるというのは当然のことです。
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そもそもが低価格帯の商品を軸とした薄利多売のビジネスなので、数を売って利益額を取りに行くという考え方が強いのかなと感じます。
ホームセンターは低単価品が超得意
最後に大きな特徴として有店舗販売をメインにしているというところです。
例えば定番の形をした椅子ですが、ハイシーズンの時期になると安く売られているのを見たことはないでしょうか。
数年前に799円くらいの価格で売られているのを見たことがありますが、店舗のメーカーやショップだとまず不可能です。
先ほど原価率の話では製造原価五千円の商品を例にしてお話ししましたが、今度同じような例で五千円の商品だと仮定してお話しします。
メーカーがそれを仮に600円で小売店に卸そうとすると100円の利益が出ますが、ここで問題になってくるのが納品にかかる送料です。
送料を考えると基本的には100円程度の利益だと完全に赤字になってしまいます。
では、送料分を考えて小売店には千円で卸しましょうという話になるわけですが、そうなるとそこから小売店の利益が上乗せされて市場に流通するので、最終的な価格は1500円くらいになってしまいます。
この例はネット販売のみの中華ブランドでも同じことが言えます。
同じく500円で中華ブランドがイスを作ったとしても商品をAmazonで780円で売ろうとしたら販売した後にAmazon側に手数料っていう形で消費者様への配送費が徴収されるので、これを加味すると完全に赤字になります。
そのためやはり店舗がないとどうしても配送費が商品あたりにかかってきてしまうので、お客様に商品を持って帰ってもらえるというホームセンターのビジネスモデルはこういった面でも有利ということになります。
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特に大きいキャンプ用品で低価格帯の商品については、完全に他のメーカーが追従できない聖域になっています。
まとめ
ホームセンターのキャンプ用品がコスパ最強の理由は、自社でたくさん作って安売りしているからということでしょう。
このスケールメリットや原価率の話は最近に限ったことではないので、この頃特にホムセンの商品が熱いと感じるようになった理由として大きいのは2番目で触れた開発体制の強化という部分でしょう。
専門の商品開発チームというのができていて、キャンプ用品に知見のある人たちが商品の企画をするようになったという話を聞いているので実際にかなり良い商品が出てきています。
PB戦略自体は前からホームセンターさんが当たり前のようにやられてますし、品質管理のノウハウなどもしっかりされているでしょうから、購入における致命的なデメリットは私個人としてはあまりないと考えております。
最後までご覧いただきありがとうございました。