アップル スパイス 〜 生産者の顔が見える体にやさしい手づくり料理。おいしい食事を通じて人のつながりが生まれる老舗カフェ

コンクリート打ちっぱなしの店って聞くと、オシャレなイメージがあるかもしれません。

今ではよく見かけるコンクリート打ちっぱなしの建物ですが、福山でいち早く取り入れた店を知っていますか?

それは福山市東川口町にあるカフェ「アップル スパイス (APPLE SPICE)」です。

アップル スパイスは昭和58年(1983年)に創業しました。
創業時から、当時福山ではめずらしかったコンクリート打ちっぱなしの店だったのです。

そんなアップル スパイスはランチが楽しめ、夜は豊富なアルコール類も楽しめる店。

また食材にこだわり、安心安全なものや、地元や周辺地域でつくられたものを使い、「生産者の顔が見える食材を使った手づくり料理」にこだわっています。

なかでも創業時からの人気メニューであるカレーライスや、栄養バランスを考えつつ盛りだくさんの内容がお得な「アップルランチ」が好評です。

そんな魅力が盛りだくさんの老舗カフェ・アップル スパイスの人気の秘密を探っていきましょう。

アップル スパイスは昭和58年創業の老舗のカフェ

アップル スパイスは、福山市中部の東川口町にあるカフェです。

昭和58年(1983年)の創業以来、地元のお客さんに親しまれてきました。

トンカツ店なども入居する敷地の一角にアップル スパイスがあります。

黄色と緑色のポップな看板が目印

店内はコンクリートの打ちっぱなしがオシャレで印象的。

この雰囲気は創業当時からだそうです。

アップル スパイスの席は、カウンター席とテーブル席がありました。

店内では音楽専門チャンネルがかけられ、音楽が流れています。

以前は看板犬の「ルーク」がいましたが、残念ながら2020年(令和2年)5月30日に永眠しました。

享年は19歳。人間なら100歳近い年齢だったそうです。

またアップル スパイスでは、英会話教室やニット教室などのイベントも開催されています。

新型コロナウィルス対策のためイベントの条件等が変更になっています。
必ず事前に店へ確認してください。

さらに、予約をすれば、おまかせのコース料理を用意した宴会も可能です。

要望を事前に伝えると、それに合わせた料理にもできます。

予約可能人数については、店に確認してください。

アップル スパイスのメニューはフードからスイーツ、ツマミ、酒類まで豊富

2023年(令和5年)2月時点の情報。価格は消費税込

アップル スパイスのメニューは、午前11時30分の開店から午後3時(ラストオーダー午後2時40分)までのランチメニューと、午後3時以降のメニューにわかれています。

ランチメニュー(カレー、パスタ)
ランチメニュー(日替わりランチ、ドリンク、デザート)

ランチは「アップルランチ」「カレーランチ」「パスタランチ」の3種類です。

アップルランチは、日替わりで複数の料理が盛り合わされる、盛りだくさんでヘルシーなメニュー。

カレーランチは数種類のカレーから選べます。

パスタランチは、自家製トマトソースパスタのランチです。

またドリンクも豊富。

たとえば、以下のようなドリンクがあります。

  • コーヒー
  • 紅茶
  • ジュース
  • ミルクセーキ
  • ミックスジュース
  • ジンジャーエール

さらにスイーツもあり、自家製ケーキが人気です。

取材時のケーキ

ケーキとドリンクのセットもあります。

また午後3時以降のメニューでは、ピザやカレーなどのガッツリとしたフードから、パン類やオツマミ系などまで幅広くそろいます。

午後3時以降のメニュー

ドリンクは、ビールやカクテルなどアルコール類が豊富です。

なお午後3時以降のメニューの一部は、混雑していなければランチタイムにも注文できます。
詳しくは、お店のかたに聞いてみてください。

ほかに、予約が必要な宴会メニューで「おまかせコース」などもあります。

オードブル 例 (提供:アップル スパイス)

また迫力・食べごたえ満点の「丸ごとチキンのオードブル」もおすすめです。

丸ごとチキンのオードブル
丸ごとチキンのオードブル 例 (提供:アップル スパイス)

なお、一部のメニューは持ち帰りが可能

ただし、価格にプラスして容器代がかかります。

持ち帰りについての詳細は、お店に問い合わせてください。

イチオシ・人気のメニュー

「カレーランチ」は創業時から人気でスパイシーな洋食系カレー

カレーライスは、アップル スパイスの創業時からの人気のメニュー。

なお、アップル スパイスのカレーは辛口のみです。

そのカレーをランチでも楽しめます。

カレーランチは、カレーにサラダが盛りつけられ、さらに食後にドリンクも付くのでお得です。

カレーランチは以下の4種類。いずれも同じ辛口カレーです。

「フライドチキンカレー」フライドチキンはサクサクの衣で巨大!

4種類のカレーのなかでも人気が高く、店主・荒川さんもおすすめという「フライドチキンカレー」のランチ。

とにかく運ばれてきた瞬間、カレーにトッピングされたフライドチキンの巨大さに驚き!

衣を見ただけでコンガリとしているのがわかりました。

香ばしい良い香りも感じられてヨダレがしたたり落ちます。

実際にフライドチキンを食べてみると、非常にサクサクとした軽快な歯ごたえです。

そして、香辛料のスパイシーな風味が食欲をかき立てます。

中の鶏肉も大ぶりで、ジューシーでうまみたっぷり。

外の衣の歯ごたえと、肉のプリッとした食感のバランスが絶妙です。

ちなみに、午後3時以降のメニューではフライドチキンの単品もあります。

そして、肝心のカレー。

カレーは少しとろみのある感じで、洋食風の煮込み系カレーです。

甘辛味にうまみのある深い味わい。

スパイスの風味が複雑に入り組んでいて、スプーンですくう手が止まりません。

ややピリ辛風味ですので、普段から少し辛いくらいのものが食べられるなら、問題ない辛さだと思います。

米は、笠岡市入田の農家から買っているそう。

無農薬で栽培された米です。

カレーランチでは、器の3分の1ほどのタップリサラダが付いてきます。

レタス、キュウリ、トマト、タマネギ、ニンジンなど野菜の種類もたくさんでヘルシーです。

なお、サラダの内容は時季や日によって変わることがあります。

ちょこんと載っている味付け玉子。

ゆで玉子を、スパイスなどを入れた特製のタレにつけ込んだものだそう。

食べると、甘辛い味にほんのりとした酸味が感じられてサッパリとした味わいでした。
カレーの付け合わせにピッタリの味です。

ポテトサラダも付いています。

カレーの付け合わせの定番・福神漬けも付いていました。

「ハンバーグカレー」のハンバーグはジューシーで肉感が楽しめる

ハンバーグカレー」のランチも食べました。

基本的にトッピングが変わるほかは、カレーや米、サラダ、付け合わせなどはどのカレーランチも同じです。

楕円形で厚みがあり、食べごたえのありそうなハンバーグ。

ハンバーグの上からはカレーとケチャップソースがかかっていました。

そしてカレーやソースがかかっていない部分は、おいしそうな茶色い焦げ目が見えます。

けっこう厚みがあるハンバーグだと思いました。

ハンバーグを食べると肉感がシッカリとありジューシーです。

肉のうまみが楽しめるハンバーグだと思います。

ハンバーグとカレーとケチャップソースとを絡めて食べると、よりおいしくなりました。

「カツカレー」のトンカツは厚めで食べごたえあり

続いて、カレーのトッピングの定番であるトンカツを載せた「カツカレー」です。

トンカツも、フライドチキンやハンバーグに負けず劣らずのボリューム感。

トンカツには特製ケチャップソースがかかっています。

衣は薄めで、パン粉は細かめです。

一口食べてみると、衣がコンガリサクサクで小気味よい歯ごたえで、香ばしくておいしかったです。

中の肉は厚めで、食べ応えあります。

赤身と脂身のバランスもほどよく、トンカツだけでも楽しめそうです。

「アップルランチ」は日替わりデリの盛り合わせ

アップルランチ」(1,400円)は、日替わりの複数のオカズの盛り合わせです。

見てください、この色とりどりで盛りだくさんの内容を!

量もタップリですが、野菜から肉、玉子などバランスも良さそうで、ヘルシーです。

アップルランチは、女性や年配のお客さんに人気があるそう。

取材時の内容から、一部を紹介します。

トルティージャ

トルティージャは、スペイン風の玉子焼のような料理です。

ポテトサラダ
一口カツ

一口カツは、肉と野菜の2種が盛られていました。

味付け玉子

カレーに添えられていたのと同じ玉子で、少し酸味のある味わいです。

酢レンコン、ニンジンのラペ、ゴボウの煮物
鶏肉の煮物
キノコのマリネ
グリーンサラダ

アップルランチではメインの大皿のほかに、小皿が付いてきます。

取材時の小皿は、ココットでした。

ココット

ココットは、小さなオーブン料理です。

ポタージュスープ

ごはんは、白米と雑穀米が選べます

取材時は雑穀米を選びました。

雑穀米

雑穀米の上には、チリメンジャコが載っています。

アップルランチは種類が豊富で盛りだくさんなうえ栄養バランスもよく、雑穀米が選べるなど、満腹感と栄養面のどちらも納得ができるお得なメニューではないでしょうか。

「パスタランチ」は具だくさんで自家製トマトソースがポイント

続いて「パスタランチ」(1,300円)を紹介します。

パスタは「自家製トマトソース」パスタの1種類のみです。

ちなみに午後3時以降のメニューでは、トマトソースを含む単品のパスタが注文できます。

運ばれてきたときに驚いたのが、具材の豊富さ。

なんと、麺が見えないほど具材が盛りだくさん!

しかも具材一切れ一切れが大きいのです。

一番上に添えられたローズマリーの爽やかな芳香がしてきます。

大きなピーマンも鮮やかです。

ピーマンは、刻まれたものも入っていました。

さらに大きく切られたナスが、いくつかゴロゴロッと入っています。

トマトソースとナスはよく合いますので、これはうれしいです。

そして圧巻は、中央にドカッと一本まるごと載せられたソーセージ。

パスタに具材として入るソーセージは切られていることが多いですが、一本まるごとはインパクトが絶大です。

パキッとしたソーセージ特有の歯ごたえとうまみが楽しめます。

ほかにタマネギ、ニンジン、トマトなどの具材も入っていました。

そして最大のポイントは、自家製のトマトソースです。

甘さと適度な酸味のバランスがいい、食べやすい味わいのトマトソースはやみつきになりそうです。

パスタランチでは、サラダも付いてきます。

内容はカレーランチで出たものとほぼ同じで、いろとりどりの豊富な野菜が盛りつけられていました。

味付け玉子や酢レンコン、ポテトサラダも載っています。

取材時、200円追加してアフタードリンクを付けました。

注文したのは、アイスティー。

セイロンとアールグレイを混ぜているそうです。
これによって、香りがわかりやすくなるとのこと。

アールグレイの爽やかな独特の香りが鼻に抜けていきました。

「ピザ」はパリッとした食感の香ばしい薄焼き生地

午後3時からのメニューで注目なのは、ピザです。

▼ピザは以下の3種類。

アップル スパイスのピザは少し変わっています。

一般的なピザよりも生地が薄いのです。
そしてパリパリッとした食感をしています。

3種類のピザのなかから、一番人気の「ガーリックピザ」を注文しました。

焼かれた香ばしい香りとともに、添えられたローズマリーの香りもしてきます。

アップル スパイスのピザの直径は約24センチメートル。

ニンニクはもちろん、ピーマンやバジル、オリーブなどたくさんの具材が入っています。

ガーリックピザの目玉でもあるニンニクは、スライスされたものがピザ上に配置されているのです。

ニンニクを焼くと、ホクホクとしたジャガイモのような食感の印象がありませんか?

しかし、アップル スパイスのガーリックピザのニンニクは違って、シャキッとした食感です。

そして、ニンニクの風味はマイルドに伝わってきます。
焼いたニンニクは結構ガツンとニンニクの風味が来ると思っていたので、意外でした。

そして、チーズの風味がしてきます。

チーズが焼かれて香ばしくなっており、たまりません。

アップル スパイスのピザの特徴でもある薄めの生地。

パリパリッとした軽快な歯ごたえと、焼かれて香ばしくなった味わいがとてもおいしいです。

さらに、焼かれたチーズの風味、ニンニクのシャキッとした食感と風味、ほかの具材の食感・風味が一体となり、バラエティーに富む味わいを楽しめました。

アップル スパイスのピザは、満足感の非常に高い一枚だと思います。

「こだわり自家製ケーキ」は見た目も味も楽しめる

アップル スパイスは、スイーツも人気です。

とくに「こだわり自家製ケーキ」(700円〜)が人気。

ケーキは、店主・荒川さんの娘・エリさんの手づくりです。

なおケーキは、コーヒーまたは紅茶とセット(計1,200円)にもできます。

取材時のケーキは「ホワイトチョコのベイクドチーズケーキ」でした。

上に載ったマスカットが宝飾品のように美しい。

彩りは鮮やかで、華やかな見た目も楽しめます。

生地はなめらか。

ケーキの両サイドには、フルーツが添えられていました。

なお、アップル スパイスではケーキの予約販売もしています。

誕生日ケーキ 例 (提供:アップル スパイス)

誕生日や記念日などにおすすめです。

「ベアードビール」は静岡・沼津の個性的なクラフトビール

アップル スパイスはもともとBar(バー)なので、お酒の種類はたくさんあります。

なかでも店のおすすめがクラフトビールの「ベアードビール」です。

備後地方でベアードビールが飲める店は希少です。
ぜひ試してみてください。

昭和58年の創業以来、地元のお客さんに愛されているアップル スパイス。

内容盛りだくさんのアップル ランチや創業以来の人気メニュー・カレー、自家製のケーキなど魅力がいっぱいです。

そんなアップル スパイスの店主・荒川 美智子(あらかわ みちこ)さんへインタビューをおこないました。

インタビューを読む

アップル スパイスの店主・荒川 美智子さんへのインタビュー

昭和58年の創業以来、地元のお客さんに愛されているアップル スパイス。

内容盛りだくさんのアップル ランチや創業以来の人気メニュー・カレー、自家製のケーキなど魅力がいっぱいです。

アップル スパイスの店主・荒川 美智子(あらかわ みちこ)さんへインタビュー。

開業の経緯や店のこだわり、今後の展望などについて話を聞きました。

インタビューは2020年10月の初回取材時に行った内容を掲載しています。

福山でもいち早くコンクリート打ちっぱなしの内装を取り入れて開業

──開業の経緯を聞きたい。

荒川 (敬称略)──

しかし諸事情が重なりまして、自分たちの店を開こうと決めたんです。

それで、ちょうどピッタリの物件が見つかりました。
そこが今アップル スパイスがある場所です。

そのような経緯で、昭和58年(1983年)7月にアップル スパイスを開業しました。

──当時から今のようなコンクリートの打ちっぱなしの店内だった?

荒川 ──

はい。創業時から今と同じ雰囲気ですね。
当時は、コンクリートの打ちっぱなしの店内は福山ではめずらしかったんです。

夫が京都市に住んでいたことがあったので、知人が京都にいました。

開業前に、京都を訪れたときにコンクリートの打ちっぱなしの店へ行ったんです。

見たことがない雰囲気に感動して、福山にあまりない雰囲気の店だから福山でやったらおもしろいだろうと。
いわば、当時の最先端でしょうか。

それで自分たちの店にも取り入れたんです。

店名はビートルズに由来。元は音楽好きが楽しむ店だった

──ちなみに店名の由来は?

荒川 ──

実は、ビートルズに由来しているんです。

ビートルズが起ち上げたレコード会社「アップル・レコード」からアップルを取りました。
つまり「アップル スパイス」は、「ビートルズに刺激を受けた」って意味です。

夫が音楽好きで、ビートルズが好きだったから。

開業前に夫が京都に行ったとき、京都では変わった英単語を組み合わせた店名があったので、アップル スパイスという名前を思いつきました。

カレーを出しているので、よく「リンゴや香辛料を使った料理が名物だから付けた店名なのでは?」と間違われますが、それが由来ではありません(笑)。

時代の変化に合わせ、店のコンセプトも変化

──店のコンセプトとかメニューも変わっていない?

荒川 ──

いいえ。
同じものもありますが、変わったものも多いです。

もともとはお酒を飲むのがメインでした。

さきほどのとおり、夫は音楽が好きだったので、音楽好きが集まって楽しむバーのような感じです。

フードは乾き物などのオツマミが多かったですね。
ただ現在もあるカレーライスは当時からも置いていて、人気がありました。

お客さんは、若い世代が多かったですよ。
学生だったり、若手の社会人だったり。

やっぱり当時は地元にあまりない店でしたし、音楽が好きな人が集まる店だったので。

DJイベントのようなものも開催しましたね。
夫がDJをしたりして(笑)。

その後、夫が他界したため私が中心になって店を運営することになったんです。

音楽をコンセプトとしていたのは夫ありきでした。
そこで、昼のランチなどもこだわるように変えてきたんです。

それは時代の変化で、お客様が求めるものが変わったのもありました。

ただ夫が亡くなったあとも、ありがたいことに今も当店に来られる昔からのお客様も多いんです。

なかには子供が生まれて、親子で来られるかたまでいます。

──カレーは昔からあるとのことだが、カレーの味も変わっていない?

荒川 ──

いいえ。
大きな変化はしていませんが、小さな変化(マイナー・チェンジ)はしています

たとえばカレーのスープの取りかた、スープに使う食材は何度も変えているんですよ。

前はおいしいと思っていたものが、今はそこまでおいしいと思わないようになって、変えていったりすることもあります。

時代が変わるにつれて、新しくおいしいものが登場したりもしますよね。
だから、新たにおいしいと思う食材などがあったら、試すこともあります。

もちろんカレーだけではありません。
どの料理も少しずつ変化はしていますよ。

同じことを続けるのも大変ですが、少しずつ何がベストなのかを探っていくのも大事だと思うんです。
日々いろいろと考えて料理をつくっています。

生産者の顔が見える食材を使った手づくり料理にこだわる

──ほかにメニューでのこだわりは?

荒川 ──

できる限り”生産者の顔が見える“ような食材を使って、手づくりで料理をしています。

地元や周辺地域のものも積極的に使っていますね。

たとえば、お米は笠岡の生産者のかたのものを使っています。
ほかにも生産者のかたから、規格外品などを仕入れたりしていますね。

紹介されたり、教えてくれたりされて人と人とつながりが増えていって、だんだんといろいろな食材が手に入ってくるようになったんです。

一般的な小売店で買うこともありますが、それも”生産者の顔が見える”食材を選ぶようにしています。

あとは水や調味料も安心・安全なものを探して使っていますよ。

──それは昔からのこだわりだった?

昔は違いました。
時代的にあまり求められていなかったこともあるでしょう。

しかし時代が変わり、安心感のある食材を使った料理が求められるようになりました。

もうひとつ、夫が体調を崩したことも大きいです。
家庭での料理で、まずは水や調味料などからこだわり始めたのがきっかけ。

それで、さきほどのように時代の変化もあり、店でも食材や水・調味料などにこだわり始めました。

もちろんおいしいのが前提なので、自分たちが食べておいしいと思えるものを出します。

そのうえで、生産者の顔がわかる食材や安心感のある調味料などをつかって、自分たちが食べておいしいと思う手づくりの料理を出しているんです。

──予約すれば、宴会向けのおまかせコースがあると聞いた。

荒川 ──

はい。
事前に予約していただいて会食や飲み会などをされる場合、出す料理やオードブルなどは、お客さんの要望を聞いていろいろ用意ができます。

たとえば「年配のかたがいるので、年配のかたにも好むような料理を出してほしい」という要望があったとき、刺身を出すこともありました。

刺身は、安心のできる店にお願いします。

あとお祝いをするというときは、赤飯や鯛料理を用意したこともありました。

もちろん、アレルギーなどで避けている食材があれば、対応します。

このように宴会メニューは、事前にご説明いただければ柔軟に対応できるんです。
これは当店の強みですね。

店の横のスペースで、バーベキューをしたこともあります。

体にやさしくおいしい料理とともに人が集まる店を目指して

──今後の展望があれば、教えてほしい。

荒川 ──

以前は、どちらかといえば夜のお客さんが多かったんです。

ただ、2020年(令和2年)に入り新型コロナウイルス感染症の流行で、大きく状況が変化しました。

いろいろと大変ですが、逆にこれを機に店の体制も変えるチャンスかなと捉えています。

ランチや、夕方のお客さんを増やしていきたいなと考えているんです。

あとは人と人とのつながりを大事にしたいですね。

以前も音楽好きが集まる店でした。
今は、当店でニット教室や英会話教室なんかを開いています。

体にやさしくおいしい料理とともに、人が集まる店を目指したいですね。

毎日でなくてもいいので、たまにフッと「久しぶりにアップル スパイスに行ってみようか」と思ってもらえると幸いです。

地域に長年愛されている老舗カフェ・アップル スパイス

栄養バランスよく、彩り鮮やかで盛りだくさんなアップルランチ。
創業時からの人気メニューで、トッピングが魅力的なカレーライス。

さらに自家製トマトソースと具だくさんなのがうれしいパスタ。
パリパリの薄い生地がクセになるピザ。

また自家製ケーキに、豊富にそろうアルコール類。

アップル スパイスの魅力はたくさんあります。

しかも食材にもこだわり、地元や周辺地域のものを積極的に使っている点もうれしいポイントです。

体にやさしくおいしい料理とともに、昭和58年の創業から長きにわたって地元のみなさんに愛されている老舗カフェへ、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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