JK、インドで常識ぶっ壊される「1位」埼玉の高校図書館で人気 価値観が固定しやすい日本人、刺さる一冊

イチオシ本の1位に選出された「JK、インドで常識ぶっ壊される」を手に持つ木下通子さん=さいたま市浦和区

 「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2022」が17日、発表された。本の専門家が子どもたちに読んでほしい本のベスト10を選出。「JK、インドで常識ぶっ壊される」(熊谷はるか著、河出書房新社)が1位に輝いた。実行委員会は「読書の参考にしてほしい」としている。

 21年11月~22年10月までに出版された本を対象に、県内の高校図書館司書ら132人が投票して、180タイトルからベスト10を決定した。

 1位の「JK、インド―」は、父親の転勤でインドに住んだ著者が、女子高校生の視点で書いた滞在記。「カレーの国」だけではない豊かな文化。スラムで出会った子どもたち。初の著書で第16回出版甲子園のグランプリを受賞している。本好きの著者が紙媒体に残せば広まると考え、印税の一部はインドの子どもらを支援する団体に寄付する。

 熊谷さんは「大変光栄に思います!目まぐるしく変わるインドという国を、考えや感情が目まぐるしく変わる女子高生の時期に生き、感じ、書いた本です。ページを捲(めく)りながら、あなたに刺さるインドとの出会いがあれば嬉(うれ)しいです」とコメントしている。

 実行委員会委員長で県立浦和第一女子高校担当部長兼主任司書の木下通子さん(58)は「日本人は価値観が固定化されていることが多い。視野を広く持って、実際に自分で歩いて感じたことが書かれている。子どもたちにぜひ読んでほしい」と話している。

 ベスト10は小説、ノンフィクション、漫画など多彩な作品が選ばれた。木下さんは「ウクライナ情勢など世相が反映された選書になっている。何を読んでいいか分からない中高校生はぜひ参考にしてほしい」と呼びかけている。

 木下さんによる熊谷さんのインタビュー動画、若手の司書が2位~10位の作品について語り合う動画を動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信。18日からイチオシ本フェアが、県内の91公共図書館、58書店などで開催される。

■高校図書館司書のイチオシ本ベスト10

(1)「JK、インドで常識ぶっ壊される」(熊谷はるか著、河出書房新社)

(2)「香君 上 西から来た少女」(上橋菜穂子著、文藝春秋)

(3)「同志少女よ、敵を撃て」(逢坂冬馬著、早川書房)

(4)「宙ごはん」(町田そのこ著、小学館)

(5)「13歳からの地政学」(田中孝幸著、東洋経済新報社)

(6)「その本は」(又吉直樹、ヨシタケシンスケ著、ポプラ社)

(7)「ウクライナから来た少女 ズラータ、16歳の日記」(ズラータ・イヴァシコワ著、世界文化社)

(8)「図書室のはこぶね」(名取佐和子著、実業之日本社)

(9)「汝、星のごとく」(凪良ゆう著、講談社)

(10)「税金で買った本(1)」(ずいの・原著、系山冏・漫画、講談社)

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