各地で春一番の可能性 日本海を低気圧が発達しながら東進 南風強まり気温上昇

 今月10日(金)、関東地方では雪が降る中、九州南部・奄美地方では春一番が吹いたと鹿児島地方気象台が発表した。
 そのほかの地域において、今シーズンはまだ春一番の発表には至っていないが、18(土)から19日(日)にかけては地域によっては春一番の発表があるかもしれない。

春一番とは

2月10日(金)九州南部・奄美地方で「春一番」

 春一番とは、立春から春分までの間(2023年は2月4日から3月21日までの間)に広い範囲で初めて吹く暖かくやや強い南からの風のことを言う。南からの風が吹くのは冬型の気圧配置が緩んで春が近づいた証拠となり、さらに各地域の特性に合わせて、春一番の定義には多少の地域差がある。

地域差がある春一番の定義

 例えば、今月10日(金)に春一番が吹いた九州南部・奄美地方の春一番の定義は「①期間は立春から春分までの間 ②低気圧の影響で8メートル以上の南よりの風が吹く ③気温が上昇する」である。
 一方で、関東地方は「①期間は立春から春分までの間 ②日本海に低気圧がある ③関東地方における最大風速は8メートル以上の南よりの風が吹く ④気温が上昇する」となり、主に②の低気圧の位置が条件に入っているか入っていないかの違いが見られる。

 なお、北海道、東北、沖縄では春一番の発表がない。これらの地域でも強めの南風が吹くものの、その後は必ずしも春らしい天候とはならないためだとされている。加えて、発表のある地域においても、基準を満たさなければ発表されない年もある。

もとは漁師の間で警戒されてきた風

 また、春一番というと往年の歌手が歌っていたような明るいイメージを抱いたり、春の息吹を感じるかもしれないが、本来は古くから漁師の間で海難を起こす風として警戒されてきた経緯がある。
 18日(土)夜から19日(日)にかけて、日本海を低気圧が発達しながら東に進む見通し。また、低気圧に吹き込む南風が強まり、気温を押し上げそうだ。
 地域によっては春一番の発表があるかもしれず、強風や高波、気温が上がるため多雪地ではなだれなどに気を付けたい。

(気象予報士・鈴木悠)

© 株式会社ウェザーマップ