糸魚川市の筒石漁港海岸に大量のイワシが漂着し、回収は難航し、処分方法が二転三転した。各種作業が終わった17日までに処理されたイワシの量は、大型土のう用袋497袋分(1袋当たり約400~500キロ)に上った。市内外から多くの見物人が訪れ、全国的にも注目された大騒動を振り返る。
イワシの大量漂着は7日に確認され、またたく間に地域住民の関心事に。原因不明なことから、県糸魚川地域振興局地域整備部は「むやみに持ち帰ったりしないでほしい」などと注意喚起した。
回収作業は8日から始まり、同市能生の笠原建設(鈴木秀城社長)が担当。焼却処分が前提で、大量の土砂が付着していると焼却炉を傷める恐れがあるため、重機ではなく手作業で袋に詰めた。
回収するイワシの量が膨大な上に、波の動きで陸地に打ち上げられる数が変動することから悪戦苦闘。次々に打ち寄せるイワシを前に、「一生分の魚を見たような気分」とこぼす作業者もいた。
処分に関しては、大量漂着を聞き付けた県外の飼料会社が引き取りを申し出た。県は有効活用を期待して応じたが、イワシは日増しに腐敗が進み、波にもまれて原形をとどめなくなってきたため、徐々に困難な状況に。強まる悪臭は近隣住民を悩ませ、仕事に多大な支障が出た人もいた。
一刻も早い処分が望まれる中、県は一般廃棄物の処分権限を有する同市および地元と調整した上で同海岸への埋却を決め、14日から作業開始。重機を用い、埋却用に掘った深さ約4メートルの大穴に袋を運び、取り出したイワシを埋めていった。
結果として、イワシを回収した497袋分のうち焼却処分が8袋分、飼料会社による引き取りが193袋分、埋却処分が296袋分となった。
◇「輪を掛けて大きな現象」 米田市長
同市の米田徹市長は15日の定例記者懇談会で今回の騒動に言及。同市で過去にも魚類の大量漂着があったことに触れながら「今回は、その中でも輪を掛けて大きな現象になった」と認識を示し、イワシ処理に当たった笠原建設に「心からの敬意、感謝」を表した。
◇イルカに追われ漂着の可能性も
大量漂着の理由については、さまざまな有識者が見解を示している。県水産海洋研究所では、原因は不明とした上で、イルカなどに追われた果てに同海岸に漂着した可能性を挙げている。
◇記事動画 新潟県提供