慣れるまで時間が…でも「スムーズ」 高齢ドライバーの認知機能検査にタブレット導入 受検時間半分以下に

タブレット端末を使用して認知機能検査を受ける受検者ら=埼玉県鴻巣市の県警運転免許センター

 75歳以上の高齢者が運転免許更新の前に受検する認知機能検査にタブレット端末が導入された。今までは紙での検査だったが、県内20会場で100台のタブレット端末を用いて検査を行い、人工知能(AI)による採点を導入したことで、受検時間が大幅に短縮。高齢者の負担軽減などにもつながる。時間の短縮には受検者からも「スムーズに終わる」とおおむね好評。県警は今後、受検までの待ち日数など、より一層の短縮を目指す。

 埼玉県警運転免許課によると、タブレット式の認知機能検査は1月4日から開始され、鴻巣市の運転免許センターや一部の警察署など県内20会場で実施。端末の台数は、タブレット端末を導入している府県の中では最多だという。

 認知機能検査は、75歳以上の高齢者が免許を更新する際に必要で、記憶力や判断力を測る。検査で「認知症の恐れなし」となれば、免許更新に進むことができ、「認知症の恐れあり」と判断されると、医師の診断を受けなければならない。医師から認知症と診断された場合、免許取り消しまたは停止となる。

 昨年までは、受検者は解答用紙を受け取り、全ての問題に解答。採点は職員が行い、受検時間は約90分間だった。昨年5月に道交法が改正され、問題も一部短縮されたが、改正後も約60分かかっていたという。

 タブレット端末での検査となり、受検時間は20~30分と大幅に短縮された。タブレット端末で問題を解くことで、回答と同時並行でAIが採点し、合格点に達した時点で問題は終了。個別で職員の案内を受け、帰宅することができる。

 受検時間の短縮により、1日に受け入れ可能な人数は、約600人から最大で千人に増加するという。

 認知機能検査は、予約しなければならず、受検までの待ち日数が長期化していた。県内では昨年12月末時点で、平均38.7日の待ち日数が発生。全国平均の36.1日を上回っていたが、タブレット端末での検査に移行することで、待ち日数は大幅に軽減される見込みだ。

 新たな検査では、受検者がヘッドホンを着け、専用のタッチペンを使ってタブレット端末で問題を解く。受検した鴻巣市の会社員男性(81)は「ヘッドホンやタブレットなどを使ったことがなくて、慣れるまで時間がかかった」と振り返るが、「早く終わるのは助かる」と語る。同市の清水昭義さん(81)は「慣れていない部分もあったが、時間の短縮にもなる。問題なくできた」と口にした。

 同課の本多一美次席は「不安のある方は会場で係員が説明する。安心してご来場してください」と呼びかけている。

© 株式会社埼玉新聞社