唐辛子40種超が一堂に! 見沼田んぼに専門農園、加工品開発も 合同会社十色代表・サカール祥子さん

唐辛子の栽培や農業体験イベントの運営、加工品開発など幅広く活動するサカール祥子さん

 埼玉県さいたま市緑区で唐辛子専門農園「十色(といろ)とうがらしファーム」を運営する「合同会社十色」代表のサカール祥子さん。自然豊かな見沼田んぼで唐辛子やコメなどの栽培を中心に、農業体験イベントの企画運営や、加工品の生産販売などさまざまな活動を行っている。

 大学時代に見沼田んぼ福祉農園でボランティアとして活動し、その後は川口市の障害者福祉施設で勤務した。ハンガリー人の夫と国際結婚、出産を経て、見沼田んぼで農福連携の活動を行うNPO法人の事務局として、障害のある子どもたちを対象にした農業体験イベントの立ち上げなどに携わった。

 新型コロナウイルスがまん延する中、「農業でしっかり利益を出して社会的課題の解決につなげていければ」と、NPO法人で活動していた女性2人とともに2021年に合同会社を設立。「障害の有無や国籍に関わらずさまざまな人が活躍できる場をつくりたい」と、必要に応じて農作業の人手を受け入れることで働く場を提供している。

 新規就農に当たりさまざまな野菜の栽培を試みる中、市場ニーズの高まりを感じたことから唐辛子に特化して取り組むことに。「ハラペーニョ」や「ハバネロ」といった品種のほか、熟成具合により色が変わりカラフルな見た目の「スパングルス」など珍しい品種にも挑戦した。一貫して農薬や化学肥料を使わない農法にこだわり、昨年は42種類の唐辛子を栽培。唐辛子を使った加工品の開発などにも取り組んでいる。

 「見沼田んぼでも担い手の高齢化などに伴い、遊休農地が多くなっている。若い世代に自分たちの活動を知ってもらうことで農業を守っていければ」と、大学や高校などとも積極的に連携を進める。今後は「少しずつ集まってきたノウハウや情報を生かして、唐辛子を通じた国際交流、海外とのつながりも強くしていきたい」と世界にも目を向けていた。

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