異なる3競技で国体代表の男性、還暦過ぎてもマルチに転戦 陸上、Sスケート…挑んだスポーツ10種以上

還暦を過ぎてスピードスケートや陸上など多彩な競技に取り組む渡邉昭裕さん

 陸上、スピードスケート、相撲の3競技で国体福井県代表となった元教員の渡邉昭裕さん(61)=福井県坂井市=は、還暦を過ぎてもマスターズ陸上、スピードスケート、テニス、自転車など多彩な競技に取り組む。全国規模の大会で活躍するほどの腕前で、冬場はスピードスケートで全国を転戦する日々。挑んだ競技数は10を超し、意欲は衰えを知らない。

 昨年11月。渡邉さんは神奈川県で行われた東日本マスターズ陸上男子60~64歳3000メートル競歩で3位入賞した。直後に同県で行われたねんりんピックに向かい、水泳交流大会で自由形とバタフライを泳いだ。翌月には滋賀県東近江市のテニスの大会で男子シングルス55歳以上の部8強入り。年末には岐阜県で行われたスピードスケートの西日本競技会一般・高校男子3000メートルで優勝し、今年1月8日にも長野県茅野市のシニア大会で準優勝。還暦を過ぎたとは思えない行動力だ。

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 渡邉さんは春江中学校時代、男子100メートルで11秒2の県中学記録(当時)をマーク。高志高校で全国高校総体(インターハイ)や国体に出場し、JOCジュニアオリンピックカップ日本ジュニア選手権で5位入賞した。20代は県サッカーリーグ1部やバレーボールで活躍。家庭を持ってから「時間の融通が利く」と個人競技に挑戦し「どんなスポーツも根っこは同じ。さまざまな競技に挑むことで新たな気づきが得られ、できなかったことができる喜びを味わえる」と、多彩な競技の大会に出場するようになった。

 「トップ選手らから学びを得られる」と全国各地を転戦。学びに深さを求め、専門外の柔道部顧問を任された際には三段を取得した。「教えてやるのではなく生徒に伴走したい」との思いで、柔道部員が助っ人で相撲に出場したら自らもまわしを着けてけいこに励み、強豪校にも通った。1997年には自らが相撲の国体成年代表に選出された。

 このほか、93年には全国スポレク祭のトランポリンで団体16強入り。テニスは県大会で5連覇して2010年に県協会から特別優秀選手賞を受けた。日本スポーツマスターズ大会は自転車で3回出場。県民スポーツ祭はスキー、アーチェリー、ディスクゴルフなどに出場してきた。

 陸上短距離のスピードを生かそうと取り組んだスピードスケートは選手、監督として何度も国体に出場。仕事を終えたその足で、岐阜などのリンクに出かけ練習した。マスターズ陸上では男子35歳クラスの十種競技と五種競技で当時のマスターズ日本新を樹立した。渡邉さんは「唯一無二の自己表現がスポーツ。この先も自らを磨いていきたい」。昨秋誕生した初孫とスポーツを楽しむことを心待ちにしているという。

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