バイオジェンとセージのズラノロン、産後うつ病対象の試験で、主要および副次的評価項目すべてを達成。

[vc_row][vc_column][vc_column_text]バイオジェンとセージ・セラピューティクスは、6月1日、ズラノロンが産後うつ病(PPD)の女性対象の第3相SKYLARK試験(NCT04442503)において、主要評価項目とすべての副次評価項目を達成したと発表しました。

両社はすでに、大うつ病性障害(MDD)に対するズラノロンのFDA申請を開始しており、2022年後半の承認を目指していますが、今回PDDに対する米国での承認申請が、来年初頭にも予定されていることも発表しました。

セージ社のCEOであるBarry Greene氏は、「もし承認されれば、ズラノロンはPPDの治療に特化した初の経口薬になる」と述べています。

目次

産後うつ病(PPD)について

産後うつは、妊娠中および妊娠後の最も一般的な症状の一つであり、米国では女性の約8人に1人、年間約50万人が毎年罹患していると言われています。

PPDは、女性に重大な機能障害、抑うつ気分や新生児への関心喪失、食欲不振、睡眠障害、運動障害、集中力低下、気力低下、自尊心低下などのうつ病関連症状などの影響を与える可能性があります。

ズラノロンについて

ズラノロン(Zuranolone SAGE-217/BIIB125)は、大うつ病性障害(MDD)および産後うつ病(PPD)の治療薬として1日1回、2週間投与で開発中の経口神経活性ステロイド(NAS)GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーター(PAM)です。

GABAシステムは、脳と中枢神経系の主要な抑制性シグナル伝達経路であり、脳機能の調節に寄与しています。ズラノロンは、FDAより、大うつ病に対するファストトラックおよびブレークスルーセラピーに、産後うつ病においてファストトラックの指定を受けております。

大うつ病対象のLANDSCAPEプログラムと産後うつを対象としたNESプログラムを通じてズラノロンは評価がされています。この2つのプログラムでは、数千人を対象に、さまざまな投与量、臨床エンドポイント、治療パラダイムで、ズラノロンの使用を検討する複数の試験が実施されています。

大うつ病対象のLANDSCAPプロジェクト

LANDSCAPEプロジェクトでは、大うつ病を対象としたズラノロンの5つの試験(MDD-201B、MOUNTAIN、SHORELINE、WATERFALL、およびCORAL試験)が含まれています。

産後うつ対象のNESTプロジェクト

NEST プログラムには、産後うつの女性を対象としたズラノロンのプラセボ対照試験 2 件(ROBIN 試験および SKYLARK 試験)が含まれています。2019年、産後うつ病の女性を対象としたズラノロンの第3相ROBIN試験において主要評価項目を達成したことを報告していますが、この試験では、プラセボに対して、15日目にHAMD-17スコアで測定される抑うつ症状を有意に改善しています。

なお、日本においては、塩野義製薬が大うつ病を対象としたズラノロンの第2相試験を完了しています。

今回発表の第3相SKYLARK 試験

今回発表の第3相SKYLARK 試験では、主要および副次評価項目をすべて達成しました。SKYLARKは、17項目のハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-17)のベースライン総スコアが26以上の重症産後うつの女性200人を募集しました。参加者は、ズラノロンを1日1回2週間投与する群と、プラセボ群に無作為に割り付けられました。

A Study to Evaluate the Efficacy and Safety of SAGE-217 in Participants With Severe Postpartum Depression (PPD)

迅速な改善と45日後まで持続する効果

プラセボと比較して、ズラノロン50mg投与群では、投与3日目という早い段階で抑うつ症状が迅速かつ統計的に有意に改善し、15日目には、ズラノロン投与群では、HAMD-17の総スコアに基づく抑うつ症状の緩和において、プラセボに対して有意かつ臨床的に意味のある4ポイントの差が認められ、主要評価項目を達成しました。

HAMD-17総スコアのCFBで測定した45日目までのすべてのタイムポイントにおいて、この改善が維持されたことが示されました。特に、ベースラインからのHAMD-17スケールの最小二乗平均変化量は、プラセボの-11.6に対して、ズラノロンで-15.6であったことが示されました。

副次的評価項目については、HAMD-17のベースラインからの変化がプラセボの-6.1に対してズラノロン投与群では-9.5と、3日目という早い段階でスコアの有意な改善が認められました。また、Clinical Global Impression Severity(CGI-S)スケールに基づく有意な改善も示されました。ズラノロン投与群では、投与15日目のCGI-Sのベースラインからの変化量が-2.2であったのに対し、プラセボ投与群では-1.6でした。

今までのデータと同様の安全性データ

両社は、この試験において、GABAA受容体ポジティブアロステリックモジュレーターの安全性プロファイルは、これまでの臨床開発プログラムで認められたものと同様であり、全般的に良好な忍容性を示したと述べています。

治療上有害な事象(TRAE)の発生率は、ズラノロン群では約66%、プラセボ群では約53%であった。ズラノロン投与群でより多く報告された有害事象は、傾眠、めまい、鎮静でしたが、投与中止後の離脱、自殺念慮や自殺行動の増加は確認されませんでした。

わかれるズラノロンの商業的評価

昨年、両社が大うつ病を対象としたWATERFALL試験のフェーズ3結果を発表したとき、投資家の反応はあいまいでした。この試験では、15日目のHAND-17スケールで、ズラノロンとプラセボを比較するものでしたが、WATERFALL試験は主要評価項目を達成したものの、ズラノロンの治療効果は2週間を経て弱まり、治療開始直後に見られた3ポイントの差は、15日目には1.7ポイントに縮小してしまいました。

同様のシナリオは、最近、同社が大うつ病を対象とした第3相CORAL試験のデータを発表した際にも見られました。この試験では、昨年末に、主要評価項目を、HAMD-17において15日目ではなく3日目に評価するよう修正されています。投資家の中には、ズラノロンの商業的可能性を疑問視している声もあります。

2020年からバイオジェンとセージ社が共同で進めている開発

バイオジェンは2020年にセージと提携し、ズラノロンを、大うつ病と産後うつ病の両方で、別の開発品で本態性振戦対象で共同で開発をっ住めています。

バイオジェンはこの契約の一部として、8億7500万ドルの契約一時金を支払い、さらに16億ドルの潜在的マイルストーンを含む、6億5000万ドルのセージ社の株式を取得しています。

SKYLARK試験データで株価は上昇

セージ社の株価は、いままでの投資家の判断にとってはっきりとしないデータで20%近く下落していましたが、今回のSKYLARK試験のデータ公開後の水曜日には10%以上上昇した。

セージ社は現在、産後うつ病として初の治療薬として2019年にFDAの承認を得て、ブレキサノロン(Zulresso)を販売しています。ブレキサノロンは、60時間にわたる持続点滴として投与されます。[/vc_column_text][vc_row_inner][vc_column_inner][vc_column_text]

参考資料

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