楽天・イオン・住信SBI…給与口座はどう選ぶのが正解?お得になる選び方をお金のプロが解説

3月・4月の年度替わりは、新社会人として働き始める方や、転職で新しい仕事をする方が多くなる時期でもあります。そんな新生活の時期にこそ考えておきたいのが給与を受け取る銀行口座です。

ただ、ひとことで銀行口座といっても、そのサービスは銀行によって異なります。そしてもちろん、利用するならばなるべくお得な銀行口座を選んだ方がいいですよね。そこで今回は、給与を受け取る銀行口座の選び方のポイントとお得な金融機関、そしてすでに利用している銀行口座を変更する場合の注意点を解説します。


■銀行口座は「生活費口座」「貯蓄口座」を用意しよう

新社会人になって行う最初の手続きのひとつに、銀行口座の開設があります。銀行口座を開設して、口座番号などの情報を会社に伝えて、毎月の給与を振り込んでもらうためです。転職した方も同様で、給与振込先の銀行口座を会社に伝えます。

銀行口座は、生活費を引き出したり、毎月の公共料金などの支払いをしたり、貯蓄や投資のお金を出したりと、さまざまな家計のやりくりに使います。ただ、生活費と貯蓄が1つの口座にまとまっていると、生活費と貯蓄の線引きがわかりにくくなってしまいます。知らないうちに貯蓄分のお金を使い込んでしまった…となれば、お金は貯まりにくくなってしまいます。

そこで提案したいのが、銀行口座は「生活費口座」と「貯蓄口座」の2つを用意することです。

●生活費口座と貯蓄口座

会社からの給与を受け取る給与口座は「生活費口座」として活用します。給与を受け取ったら、先に貯蓄分を「先取り貯蓄」で貯蓄口座に取り分けます。なお、先取り貯蓄は、銀行の自動入金サービスや自動引落としを利用すると手間もかからず確実です。そして、生活費口座に残ったお金で生活費や家賃などの支払いを行います。仮に生活費口座のお金を使い切ってしまったとしても、貯蓄口座にはお金が貯められているので、問題ありません。

これで、生活費口座を見れば毎月の支出がわかりますし、貯蓄口座を見ればいくらお金が貯まったかがすぐにわかります。お金の流れも、スッキリ整理できています。

■銀行口座のサービスは金融機関により異なる

どの銀行口座を使ったとしても、給与を受け取ったり、貯蓄をしたり、生活費や公共料金を支払ったりといったことは問題なくできます。しかし、銀行口座のサービスは、金融機関によって大きく異なります。具体的には、次のような点が違います。

●銀行口座の違い1:金利
普通預金の金利は現状決して高いとはいえませんが、それでも銀行によって異なります。年0.001%と年0.01%では、利息のつき方が10倍違います。さらに、条件を満たすことで年0.1%以上の金利が得られる銀行もあります。0.1%とはいえ、100倍の違いです。金利は当然、なるべく高い銀行のほうがいいでしょう。

●銀行口座の違い2:手数料
たとえば、ATMの利用手数料は、平日の日中ならば無料のところがほとんどですが、早朝・深夜や土日祝日だと有料になる銀行もあります。それに対して、取引状況に応じて月数回までであればどのATMを利用しても無料という銀行もあります。その他の手数料も、銀行によってまちまちです。
ATMの利用手数料が有料の場合、1回110円、220円などと、金額はそこまで高いわけではありません。しかし、金利が年0.001%の銀行で100万円を1年間預けても利息はわずかに10円(税引前)と考えると、いかに手数料がもったいないかがわかるでしょう。

●銀行口座の違い3:特典
銀行の中には、利用することによって条件を満たすとポイントがもらえる、金利がアップする、ATM利用手数料や振込手数料などの無料回数が増えるといった特典を用意しているところもあります。条件を満たせるのであれば、特典を活用しましょう。

●銀行口座の違い4:店舗やATMの利便性
どんなにお得な銀行でも、お住まいの近くに店舗や利用可能なATMがないのでは、普段使いしにくくなってしまいます。生活圏で利用できるかが大切です。

銀行口座のおすすめは、ネット銀行です。ネット銀行では、残高確認や他口座への振り込みはスマホやパソコンを使って24 時間できるので、わざわざ店頭に足を運ぶ手間もありません。そのうえ、ネット銀行の中には預金金利が年0.1%得られるところもあります。

現金が必要な場合も、ネット銀行ならば近所のコンビニにあるATMなどで引き出せます。さらに、ネット銀行によっては、利用状況に応じて振込手数料や入出金手数料が無料になるなどの特典を利用できる場合もあります。ネット銀行の多くは店舗がないため、店舗のある銀行よりも営業に際して費用がかかりません。そのぶん、金利や手数料などのサービスが充実しているのです。

反対に、今メガバンクをあえて選ぶメリットは、ほとんどありません。生活費口座はもちろん、貯蓄口座もネット銀行から選ぶと良いでしょう。

また、さらに1歩進んで投資まで考える場合には、証券会社と連携しているネット銀行を選ぶと便利です。

さらに、給与を受け取る口座として利用するとポイントがもらえるなど、特典を用意している銀行もあります。上の表にある銀行では

・auじぶん銀行:Pontaポイント1ポイント〜最大15ポイント
・楽天銀行:楽天ポイント1ポイント〜最大3ポイント、他行宛振込手数料3回無料
・イオン銀行:10電子マネーWAONポイント、イオン銀行スコア30点
・住信SBIネット銀行:スマプロポイント30ポイント

があります。毎月これらの口座でただ給与を受け取るだけで特典がもらえるのですから、ぜひ活用しましょう。
ただし、特典の対象となる振込は摘要欄に「給与」「キユウヨ」などと書かれている必要があるなど、銀行ごとに決まりがあるので、利用前によく確認しましょう。

■給与を受け取る口座を変えるには?注意点を確認

給与を受け取る口座を変えるには、勤め先の会社に銀行口座を変更したい旨を伝えればOK。新たに利用したい金融機関の口座情報を伝えれば、変更してくれます。ただし、会社によってはあらかじめ銀行が指定されている場合や、対応していない銀行がある場合があります。したがって、口座開設をする前に、勤め先の会社に給与口座を変えることができるかを確認しておきましょう。

銀行口座を変更したら、それまで利用していた銀行口座には当然ながら給与が振り込まれなくなります。ですから、この銀行口座から引き落としされていた公共料金やクレジットカードの利用代金などの支払いを、新たな給与の振込先の銀行に忘れずに変更しましょう。もし忘れたまま手続きしないでいると、やがて支払いができなくなってしまいます。特にクレジットカードの支払いが滞ると、信用情報に支払いが遅れた旨が記録され、最悪の場合クレジットカードが利用できなくなるといったことも。忘れずに変更しましょう。

新生活を前に見直しておきたい銀行口座の使い分けとおすすめの銀行を紹介してきました。銀行口座は一見どれも同じようですが、よく見ると違います。ぜひ自分にあった銀行口座を選び、給与口座としてお得に活用しましょう。

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