「お笑いが崇高なものにされがち」 ノンスタ石田がナンバに仕掛ける“身近”な笑い チケット高騰に「違和感」

お笑いコンビ・NON STYLEの石田明(43)がプロデュースするコメディーイベント「大阪文化芸術創出事業『ワラウナンバ』」(3月3~5日、道頓堀商店街・ミナミ千日前商店街・千日前商店街ほか)が目前に迫っている。近年の傾向として「お笑いが崇高なものにされがち」と語る石田が仕掛けるのは、ナンバの街全体を使った“身近”な笑い。石田がこのほど、よろず~ニュースなどの取材に応じ、イベントに込めた思いと、その先の展望を明かした。

同イベントは、日本屈指の劇場街として発展したナンバ周辺を石田がコメディー仕様にプロデュース。3日間にわたり、各地でお笑いライブや無料で楽しめるストリートパフォーマンスが繰り広げられる。石田は「最近、お笑いが崇高なものにされがち。もっと身近なものであった方がいい」と根幹にある思いを明かした。

NON STYLEはストリート漫才から芸人人生をスタートさせた。「道端から漫才を始めて(実績をあげるたびに)どんどんチケット料金が上がっていく。そこに対して、違和感を持っている」と石田。「漫才はあくまで娯楽なので、“懐石料理”になる必要はなくて“そこらへんで売っている焼き芋”でいい」と例えを交えて語った。

気軽に楽しめる笑いを―。昨年10月に開催された大阪城天守閣復興90周年記念事業「大阪城夢祭」では、そんな思いを込めて昔の大阪の町並みを再現した「大阪楽市楽座」をプロデュース。千秋楽から一夜明けた10月24日には、自身のブログに「芸人人生のピークはM-1優勝した時だと思ってました。でもそれを大阪城夢祭の楽市楽座の大成功は超えていきました」とつづった。そこには、大規模イベントをプロデュースすることでしか味わえない達成感があったという。

「どれだけ多くの方と関わって、このイベントを成立させたかということが大きかったかもしれない。プレッシャーを乗り越えて達成した時の快感はM-1の比じゃなかった。M-1は『勝ったことの喜び』だったんですけど、(プロデュース業では)『たとえ失敗していたとしても、みんなで取り組んだことがゴール』と思えたんですよね」

今回のイベントでは、規模をナンバの街全体に拡大。大阪府・大阪市と一体となって開催するイベントに、石田は「大阪市と一緒に仕事するのは楽しい。ワクワクするんです、『こんなことをやらせてもらえるんや』って」と笑顔を見せた。また、2025年の大阪・関西万博に向けて「どれだけキラーコンテンツを作れるかみたいなことを勝手に自分に課している」と明かし、「(ワラウナンバが)僕の手から離れたとしても、万博でそれを模したものを誰かがやってくれたとしたら、それはすごく有意義なこと。今後も強い企画を作っていこうという意識でやっています」と先を見据えた。

(よろず~ニュース・藤丸 紘生)

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