アウディスポーツが14名の2023年ファクトリードライバー発表。ケルビン・ファン・デル・リンデも離脱

 2月21日、アウディスポーツは2023年のカスタマーレーシング活動においてファクトリードライバーを務める14名を発表した。このなかで、8年間にわたってファクトリードライバーを務めたケルビン・ファン・デル・リンデが、ラインアップから外れることが明らかとなった。また、2名のドライバーが新たにファクトリーラインアップに加わる。

 アウディがLMDhプログラムを中止したことにより、このオフにはレネ・ラスト、ドリス・ファントール、シャルル・ウィーツ、ニコ・ミューラーらのファクトリードライバーが相次いでアウディを離脱していたが、彼らに続いて2022年のニュルブルクリンク24時間ウイナーであるファン・デル・リンデも、アウディを去る形となった。

2023年、アウディのワークス・ロスターから外れることになったケルビン・ファン・デル・リンデ

 フォルクスワーゲンのワンメイクレースで成功を収め、2014年のADAC GTマスターズのタイトルを獲得した後、アウディは2015年に当時まだ10代だったファン・デル・リンデと契約。以来数シーズンに渡り、ファン・デル・リンデはアウディを代表して、主要なレースを戦ってきた。

 また今回の発表では、TCRドライバーのナタニエル・ベルトンの離脱も明らかとなった。この2名と入れ替わる形で、アウディR8 LMS GT3を熟知しているシモン・ガシェとマックス・ホファーが、ワークスラインアップに加わる。

 29歳のフランス人であるガシェは、昨年GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ にトレゾア・バイ・カーコレクションから参戦。23歳のオーストリア人であるホファーは、インターナショナルGTオープンにオース・モータースポーツから参戦したほか、ニュル24時間にも出場している。

新たにアウディワークスドライバーのラインアップに加わった、シモン・ガシェ(左)とマックス・ホファー

 このほかアウディスポーツは、マッティア・ドゥルーディ、ルカ・エングストラー、リカルド・フェラー、クリストファー・ハーゼ、ピエール・カッファー、ジル・マグヌス、デニス・マルシャル、クリストファー・ミース、パトリック・ニーダーハウザー、フランク・スティップラー、フレデリック・バービシュ、マーカス・ウィンケルホックの12名を継続起用する。

 アウディスポーツでカスタマーレーシングの責任者を務めるクリス・ラインケは、「このドライバーラインアップにより、2023年シーズンに向けての体制が整い、ドライバー個々の強みを活かした多様なプログラムでカスタマーをサポートできるようになった」と述べている。

「我々のプロダクト(車両)を長きに渡り知っているシモンとマックスを温かく歓迎する。我々は彼らを何年も見てきており、このような機会を与えることができることを嬉しく思っている」

「また、今年はもう我々の一員ではない、他のふたりのドライバーにも大きな感謝を捧げたい。ナタニエル・ベルトンは、FIAワールド・ツーリングカー・カップで数々の勝利を収め、アウディRS3 LMSの開発に大きく貢献してくれた」

「ケルビン・ファン・デル・リンデは、選手権タイトルの獲得や24時間レースでの勝利など、アウディとともに多くの成功を収めてきた。彼は自身のキャリアに新たな弾みをつけているが、近い将来、個別のプログラムやレースで再びアウディR8 LMSのコックピットに収まる姿を見ることができれば嬉しい」

 ファン・デル・リンデは2017年にランド・モータースポーツでニュル24時間を制した後、2019年にはルトロニック・レーシングでGTマスターズのタイトルを、チームWRTで鈴鹿10時間レースのタイトルを獲得している。

 南アフリカ出身のファン・デル・リンデは昨年12月の時点で、アウディスポーツでの活動を続けるかどうかが不透明な中、2023年に向けては「他のオファー」があると語っていた。

 26歳の彼は最近、フルタイムドライバーのロビン・フラインスの手首の負傷を受け、ABB FIAフォーミュラE世界選手権にアプト・クプラからの参戦を打診された。

2022年ニュルブルクリンク24時間レースで総合優勝を遂げたアウディスポーツ・チーム・フェニックスの15号車陣営。左からドリス・ファントール、ロビン・フラインス、フレデリック・バービシュ、ケルビン・ファン・デル・リンデ。
パルクフェルメで弟・シェルドンのDTMタイトル獲得を祝福する兄のケルビン・ファン・デル・リンデ(チーム・アプト・スポーツライン/アウディR8 LMS)

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