子ども関係予算は「倍増ありき」で「無謙虚」 野党から怒号

岸田文雄首相(資料写真)

 22日の衆院予算委員会で自民党総裁の岸田文雄首相と野党第1党の立憲民主党の泉健太代表との論戦があった。子ども関係予算の倍増を巡る答弁の修正を迫られた首相は「間違ったことは言っていない」と拒否。「何からの倍増なのか」かと根拠をただす質問にも「これから検討すること」などと明言を避けたため、「倍増ありきのいいかげんな予算」と批判された。

 首相は15日の衆院予算委で子ども関係予算の規模を問う立民の馬場雄基氏への答弁で家族関係社会支出を引き、「2020年度には国内総生産(GDP)比2%を実現している」と主張。「それをさらに倍増しようではないかと申し上げている」と付言した。

 同支出は10.8兆円でこれに照らすと関係予算は20兆円を超す規模となる。翌16日から松野博一官房長官らが「検討中の話」などと首相答弁を否定し続けてきた。

 長官らの姿勢について政府関係者は「防衛費倍増を巡る増税への批判が続く中で新たな財源論議の発生は避けたい」と説明。泉氏とのやりとりを前に自民議員の質問に対して答弁修正を行う案も検討されたが、「総理や周辺が頑として応じなかった」という。

 22日の予算委で泉氏から「倍増の根拠とする数字は」と“代入値”を問われた首相は「検討中」と答えた上で「子ども施策のパッケージ全体が整わなければ(数字は)示せない」と説明した。

 「積み上げがないのに『倍増』のみを主張するような姿勢で、よくも『予算案に賛成してくれ』と言えるものだ」との泉氏の指摘に「この件は新年度予算の話とは別だ」と反論。答弁修正を迫った同氏からは「何のメンツにこだわっているのか」とあきれられ、野党席から「無謙虚」などと怒号を浴びた。

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