子ども関係予算倍増方針 2Xの「本当のXはどれ?」年額12兆円も開き 正副長官が首相発言打ち消す異常事態

岸田文雄首相(資料写真)

 岸田文雄首相が打ち出す「子ども関係予算(X)の倍増(2X)」という「単純計算」(自民党幹部)を巡り、政府内が混乱している。国会で首相は家族関係社会支出(10.8兆円=2020年度)をXの“代入値”として持ち出したが、松野博一官房長官は少子化対策関連予算(6.1兆円=22年度)、こども家庭庁関連予算(4.8兆円=23年度案)も列挙。「X次第で年額12兆円も開きが出る」(同)ため、野党は「総理が目指す本当のXは?」(立憲民主党幹部)と徹底追及の構えだ。

 20、21日と続く衆院予算委員会分科会で政府与党は「子ども関係予算については『基準を含め精査中』で通す」(自民国会対策委員会幹部)と答弁方針を徹底。22日に予定されている予算委集中審議までは「野党にさらなる追及材料を絶対に与えない」(同)ことを確認している。集中審議に向け官邸などは首相答弁の内容を練るが、「総理自ら答弁修正なり謝罪なりを行わなければ着地できない」(官邸関係者)との悲観論も漂う。

 首相の答弁は15日の衆院予算委で立民の馬場雄基氏に具体像を求められた中で出た。家族関係社会支出について「20年度には国内総生産(GDP)比2%を実現している」と主張。「それをさらに倍増しようではないかと申し上げている」と明言した。

 ところが翌16日の定例会見で磯崎仁彦官房副長官が「GDP比は倍増を考えるベースではない」と釈明。松野博一官房長官も国会答弁などで「子ども政策に関連する予算はさまざまある」(17日の衆院予算委)と少子化対策関連予算、こども家庭庁関連予算という新たな“代入値”を持ち出すなど、上司(首相)の国会での発言を部下が打ち消す異常事態となっている。

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