静岡県にある伊豆半島の観光地・下田の無人駅にコーヒースタンドが出店し、話題になっています。無人駅なのに、人の触れ合いが感じられると人気です。
早朝の伊豆急行・蓮台寺駅。静岡県立下田高校に通う多くの生徒が、この駅を利用します。
<NEED Uオーナー 板橋隼平さん>
「おはようございます」
高校生に声を掛けるのは、駅員ではありません。コーヒースタンドのオーナーです。
Q.毎朝、声掛けを?
<NEED Uオーナー 板橋隼平さん>
「7時台に電車2本。高校生が来るので、それに合わせて、『おはようございます』とあいさつしている」
2022年秋にオープンしたコーヒースタンド「NEED U」。伊豆急行蓮台寺駅の駅舎が「NEED U」の店舗です。
伊豆の東海岸、伊東と下田をつなぐ伊豆急行。利用客の減少に新型コロナが追い打ちをかけ、2021年度の利用客数は新型コロナ前に比べて約4割も減少しました。(※489万人→270万人)15の駅がありますが、そのうち、8駅が無人駅。蓮台寺駅も2021年、無人駅となりました。
板橋さんは下田高校OB。地元に戻り、自然食品専門店を営んでいましたが、無人となった思い出の駅を見て放っておけないと駅舎にコーヒースタンドを出しました。
<NEED Uオーナー 板橋隼平さん>
「ぼく自身も高校を出て伊豆のよさ、下田のよさを気づいたのですが、海と山の距離が近くて、クオリティーが高くて、素晴らしいコミュニティーがあるということをより多くの方に知ってもらいたいので」
こだわりのコーヒーに、伊豆の食材を使ったスイーツやホットサンドも人気です。
<育休中の男性>
「バレンタインなのでチョコレートドリンクで」
Q.こちらにはよく来るのですか?
「きのうも来ました」
観光客に限らず、最近では、地元の常連客も徐々に増えたそうです。伊豆急行も期待を寄せます。
<伊豆急行運輸部事業課 鈴木悠生さん>
「ただ、お客様が乗り降りするだけではなくて、町の顔になっていただければ。駅がもっとにぎやかになっていくことがよいかなと思っています」
にぎわいだけではありません。防犯の面でも一役買っています。
<小学生とのやり取り>
「きょうは何の宿題ですか?」
蓮台寺駅近くのピアノ教室に通う小学生の姉妹。迎えを待っていました。
<NEED Uオーナー 板橋隼平さん>
「子ども2人で来店するので、一声でも『何かあったら言ってね』と。(待合室が)目の前にありますし、見守るような形で」
<お母さん>
「すごい助かります。仕事で忙しいときがあるので、こういったところがあると安心して預けられるし」
<NEED Uオーナー 板橋隼平さん>
「NEED Uは英語でいう『I NEED U』という言葉が知られていると思いますが、『必要とされる』というような、人の役に立てるような事業ができたらと、立ち上げ当初から思っていたのでその名前につけました。少しでもお客様に『I NEED U』と言われるようにこれからも頑張っていきたい」
無人駅なのに人の触れ合いが生まれる蓮台寺駅。駅舎にはコーヒーの香りと人の輪が広がります。