藤井竜王が朝日杯将棋オープン制覇 2年ぶり4度目Vで公式棋戦〝3冠〟&史上初の全冠制覇に王手

第16回朝日杯将棋オープン戦決勝が23日、都内で指され、藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖との五冠)が渡辺明名人(棋王との二冠)に103手で勝利。2年ぶり4度目の優勝を果たした。

午前中の準決勝では、豊島将之九段に投了寸前まで追い込まれながら、165手で大逆転勝利。先手番連勝記録を25に伸ばした。午後の決勝も先手番となり、戦型は渡辺名人の誘導で雁木に。棋王戦五番勝負でも対戦中の渡辺名人に対し、序盤から時間を使って早々と一分将棋となったが、徐々に優位を拡大して押し切った。

終局後、藤井竜王は「雁木模様からあまり経験の無い将棋になって、なんというかこちらがどういう風に攻めの形を作っていくか難しくて、序盤から中盤に駆けて先に攻め込まれる形になって、失敗したのかなと思っていました」と回顧。こちらの玉がかなり薄い形になったので、それを何とかうまくケアしながら指せればと思ってやっていました」と淡々と話した。

苦戦もあった大会全体を振り返り「準決勝までの3局は、いずれも負けを覚悟した局面があったので、優勝は好運な結果だったかなと」と謙虚にコメント。「秒読みの中でミスが出てしまう将棋が多かった。そのあたりを課題ととらえて取り組んでいきたい」と、さらなる進化を誓った。同棋戦では4度目の優勝となったが、「初めて優勝できた棋戦も朝日杯なので、相性の良さを感じたりもしています。公開対局という形で開催していただいているので、このような会場で対局するのは貴重な機会。モチベーションにつながっているのかなと」と満足げに語った。

藤井竜王は今年度、全棋士参加および上位棋士参加の公式棋戦4戦のうち、JT杯日本シリーズ、銀河戦、朝日杯将棋オープンを制覇。2011年度の羽生善治九段以来となる公式棋戦〝3冠〟を達成した。残るNHK杯テレビ将棋トーナメントでも準決勝(放送前段階)に駒を進めており、史上初の4冠にも王手を掛けた。

(よろず~ニュース編集部)

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