ホテルで強制性交等が増、カラオケボックスも油断できず…埼玉の犯罪事情、さらに大幅増の断トツ1位は

刑法犯18年ぶり増の埼玉

 2022年の1年間に埼玉県警が認知した刑法犯の件数は前年比1817件増の4万1983件で04年以来、18年ぶりに増加に転じたことが19日までに、県警のまとめで分かった。そのうち、自転車盗が1万371件で全体の約25%を占めた。前年と比べて増えた1808件が、刑法犯全体の増加件数とほぼ同じだった。

 県警生活安全総務課によると、刑法犯の認知件数は05年から21年にかけて17年連続で減少していた。昨年は4.5%増加したが、ピークだった04年の18万1350件の4分の1以下。人口千人当たりの犯罪率は5.7件で全国ワースト3位だった。

 平成以降、2番目に少ない認知件数ながらも増えた要因について、同課は「コロナの自粛、行動制限の解除で人流が増加していることが影響したと思われる」と分析した。

 重要犯罪の認知件数は前年に比べて10件(1.5%)増の667件。内訳は殺人57件(前年比12件減)、強盗94件(同6件増)、放火48件(同5件増)、強制わいせつ345件(同3件増)など。特に強制性交等が19件多い88件と増加が目立った。住宅内以外で、カラオケボックスやホテルなどの店舗内が29件で13件増加したのが特徴的だった。

 重要窃盗犯は前年比236件(6.6%)増の3815件で、侵入窃盗、自動車盗、ひったくり、すりの全4罪種で前年を上回った。特に自動車盗が113件(22.9%)増の606件と大幅増加。従来の手法に加え、車両のシステムに侵入し開錠やエンジン始動を行う「CANインベーダー」と呼ばれる手口で数分間に高級車を盗まれる被害も多かった。

 重要窃盗犯以外の窃盗事件の傾向としては自転車盗が全体の24.7%で断トツ1位。1万371件の被害の中で無施錠が6591件で63.6%を占めることから、県警は駅周辺の駐輪場で自転車に、QRコードを読み込むと防犯対策や被害状況が分かる札を掛けて、鍵かけを呼びかけるなどの啓発活動を行っている。

 全体の検挙件数は1万5253件(同649件減)、検挙人数は9573人(同751人減)。検挙率は36.3%で3.3ポイント下がった。警察官100人当たりの検挙件数は132.4件で全国4位。一方、警察官100人当たりの認知件数は全国1位の364.3件で、依然として高い負担率で推移している。

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