許さない…全国4位の「万引」多い埼玉、じつは店にも原因あるとの声も 「客を疑うなんて」そこで名案が

「県万引き防止官民合同会議総会」であいさつする県警の広木利信生活安全部長(中央)=7日午後、さいたま市浦和区の県警本部

 埼玉県で昨年1件間の刑法犯認知件数4万1983件のうち、約1割に当たる5299件(一昨年比114件減)に上ったのが商業施設などでの万引だった。専門家は「万引は犯人だけでなく、万引をしやすい環境をつくっている店舗にも原因はある」と対策を呼びかけている。

 県警生活安全総務課は7日、自治体や商業施設の事業者など約60団体を集め、オンライン上で「県万引き防止官民合同会議総会」を実施した。万引における県内の情勢や各所の取り組みなどを共有し、未然防止へ認識を新たにした。

 総会の後半では、犯罪心理学などを専門とする香川大学教育学部の大久保智生准教授(県出身)が、万引を未然に防ぐ店舗づくりについて講演を行った。

 大久保准教授は店舗側の対応について、客を疑うことを避けることなどを理由に対策に消極的になるケースがあることを指摘。その上で、客にへのあいさつを今まで以上に増やすことを効果的な対策として提案した。「声をかけることで客を観察していることがアピールできる。接客の質と防犯意識を同時に高められる」と話し、実際に未然防止に成功した例もあるとした。

 総会を終えて、広木利信生活安全部長は県内の万引情勢について「一昨年から114件減少したが全国で見ると東京都、大阪府、愛知県に次いで4番目に多く、予断を許さない」とした上で「『万引をしない、させない、許さない』という共通の目標を掲げて連携を強めたい」と意気込んだ。

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