コロナ禍の卒業生 教諭からの贈る言葉①

この3年間、生徒たちは新型コロナウイルス感染症の影響でたくさんの我慢を強いられ、これまでの「当たり前」がことごとく覆された。教諭たちも共に悩み、迷い、それでも精いっぱいに青春を送る教え子の笑顔に励まされてきた毎日を過ごした。長崎新聞は長崎県教委、長崎県学事振興課を通じ、県内の公私立の高校(定時制・通信制含む)、特別支援学校高等部の全108校に対し、教諭から生徒たちへ贈る言葉を募り、95通のメッセージが寄せられた。(掲載は順不同)

■希望的観測は裏切られ

入学時点で他県への移動歴のため外出を自粛し、入学式すら出席できない生徒もいました。その後も行事のたびに自粛・行動制限が続く中、2学期になれば大丈夫やろう、新年度までは続くまいといった希望的観測はすべて裏切られ、修学旅行も体育祭もすべて縮小版。よくぞみんな耐えてくれました。自分の席で前を向いて黙食?「楽しくねぇー!」けれど、それもこれも青春の思い出に変えて、精鋭部隊「アフターコロナミッション完遂チーム」出陣。
(北松農業・立石元弘教諭)

■笑顔に何度も救われた

みんなで笑った騒がしい日々、自分や友達と向き合う大切な時間。体育大会や文化祭ですら日常から失われてしまった。かけがえのない時間を取り戻すために、新たな旅に出よう。新しい場所。新しい仲間。そして新しい自分。大丈夫、君たちの笑顔はどんな難関も乗り越えていける。その笑顔には力があるし、われわれは何度も救われてきたから。どうもありがとう。さぁ勝負はこれからだ。自分にとって大切なものを見つけたら、また帰っておいで。いつもここで待っているから。
(佐世保西・江口武志教諭)

■失敗恐れず挑戦を

カヌー競技の艇はスピード重視のため、とてもバランスが悪く、新入部員はカヌーに乗ってすぐに転覆し、また乗っては転覆を繰り返して上達していきます。それはオリンピック選手でも同じで、最初は転覆を何度も繰り返すのです。何事もうまくいかないことや失敗を積み重ねて、それでも諦めずにやり続けるから夢や目標に近づいていけるのではないでしょうか。うまくいかなくてあたり前、失敗の数だけ力になる。失敗を恐れず諦めずに挑戦し続けてください。
(西陵カヌー部顧問・西夏樹教諭)

■少しずつ前に進んで

マスクを着けての入学式に始まり、学校のグラウンドで行った新入生研修、延期された歓迎遠足、学年別に行われた校内球技大会、体育祭当日にできなかった北高伝統のコッコデショ、行先を変更した修学旅行。コロナ禍で君たちの学校生活は変更や中止を余儀なくされました。でも、毎日の学校生活で見せてくれたあふれる笑顔、授業や行事で見せてくれた真剣な表情が、とても印象的でした。これからも、笑顔と素直さを大切に、少しずつ前へ進んでいってください。
(長崎北・染田宗彦教諭)

■思っている以上にたくましく

お互いがマスクをし、顔半分を隠しながらの学校生活、コミュニケーションが難しい時期もありました。2年生の時、私が急な入院で苦しんでいる時、君たち全員のコメントがつづられた色紙は、入院中の私に勇気と元気を与えてくれました。「この世の中に当たり前はない」と言いますが、君たちは、私が思っている以上に、たくましく、優しい人間に成長してくれました。社会人になっても、時代の波にのみ込まれることなく、成長を続けてください。
(西彼農業・山本公男教諭)

■マスク越しの素敵な笑顔

コロナ禍に振り回された3年間でした。入学早々の臨時休校から始まり各行事が中止や縮小になり本当に残念だったと思います。そんな中でも明るく前向きに取り組んでいる姿やマスク越しの素敵な笑顔は目に焼き付いています。制限が緩和された最後の文化祭では、みんなで盛り上がれたことなど忘れられない思い出です。今後は「ウィズコロナ」で制約も少なくなります。自分の「やるべきこと」に向かって、はじける笑顔で突き進んでください。がんばれ‼
(長崎商業・辻勝義教諭)

■すすり泣く声

学校行事が制限される中、本校にせっかく集まった仲間としての意識をどう築きあげていけるのか、悩む日々でした。そんな中、1年次の最後のホームルーム、1年終了の思いを話していると、クラスの中から「すすり泣く」声が聞こえてきました。制限され中での高校生活に対して、みなさんはみなさんなりの「精いっぱい」を重ねながら過ごしてきたことを感じた瞬間でした。「工夫を重ね、前に進む」これは、今後の生活でも必要とされます。前に進むために、何をどうしたらよいのか、または何ができるかを考え続けていきましょう。
(佐世保南・重松真知子教諭)

■何事にも常に前向きに

「Be a Challenger」の学年スローガンのもと、東高での3年間みなさんは何事にも常に前向きに挑戦しました。特に今年度の体育祭では、リーダーシップを発揮して後輩たちを牽引し、最高の集団演技を見せてくれたことは強く印象に残っています。探究活動では様々な制約がある中で「Think globally,act locally」の気持ちでオンラインを駆使するなど、工夫して取り組み、新たな道を切り拓きました。これからも長崎東で培った精神で、自信をもって世界を舞台にして活躍してください。
(長崎東・濵村満紀子教諭)

■いつでも会いに来て

入学してからすぐに分散登校、休校が続き学校に慣れるのも大変だったことでしょう。厳しい制約がある中の体育祭、工業祭などの学校行事に一生懸命取り組んでいた姿はとても輝いていました。3年生になってからはそれぞれの進路に向けて必死に取り組んでいる姿は後輩の見本になったと思います。2年生で新型コロナウイルスの影響で実現できなかった修学旅行も3年生の1月に実施でき、私たちも皆さんとの思い出を作れたことは大変うれしく思います。これからの人生いろいろなことが待ち受けていると思いますが、つらくなったときは母校を思い出し、いつでも会いに来てください。幸せな人生を。
(大村工業・池田宏悦教諭)

■粘り強く取り組んでくれた

野球部3年生5名、コロナ禍でなかなか練習できず、大会が打ち切られることもありましたが、よく粘り強く取り組んでくれました。活動停止前、おのおのバットやボールを持ち帰る選手たちの中、「監督、丸太を持って帰っていいですか?」と申し出る者がおり、驚いたのを覚えています。見事エースとして活躍してくれました。卒業後も、何らかの形で野球に携わってくれることを願っています。頑張れ!日々努力。
(長崎明誠野球部顧問・山本孝一郎教諭)

■笑顔でまた会おう

上級生がいない入学式から3年…、下級生に見送られて立派に卒業することができました。この3年間、お互いマスクで表情が分かりにくかったり、準備をしてきた行事が直前で中止になったりと、新型コロナウイルス感染症に振り回された日々でした。でも、みなさんが諦めることなく前向きに、明るく学校生活を過ごしてくれたことは唯一の救いでした。この経験が人生の糧になることを信じています。完全にマスクが外れたら、笑顔でまたお会いしましょう。
(川棚特別支援学校・中原良子教諭)

■世の中悪いことばかりではないよ

コロナウイルスにほんろうされた学校生活は、聴覚に障害がある皆さん独特の苦しさもありました。マスク越しの会話では、相手の口の動きが分からずに、意思が読み取れず、「聞こえにくいので書いてもらえませんか?」と勇気を振り絞ったこともありましたね。それでも、手話を使える者同士なら、食事をしながらでも、アクリルボードで隔てられても、十分に会話を楽しめていました。逆境をプラスに前向きに生きていくことを学んだ皆さん。世の中そんなに悪いことばかりではないよ。
(ろう学校・野沢邦彦主任実習助手)

■当たり前が何かもわからず

コロナ禍で当たり前のことができなくなったと言われていますが、その当たり前のことが何なのかもわからなかった3年間だったと思います。全校集会が1度も行われなかったり、家族の体調が悪いと学校を休まないといけなかったりと、この時代にしかない価値観が生まれた気がします。その価値観の違いから社会に出てさまざまな困難に直面するかもしれません。その時は「人として大切なこと」を第一に考え行動してください。皆の人生に幸あれ!
(佐世保工業・松尾恒教諭)

■自分らしく生きていって

中止や縮小される行事も多かったですが、自分のやってきたことを信じ、目の前のことに必死に向き合ってきた68回生。与えられた場面で最大限の力を発揮する君たちの姿を見て、とても勇気をもらいました。ありがとう。県内に変更になったけれど、君たちと行った修学旅行がとても思い出深いです。今後どんな困難が待ち受けていたとしても、再び甦ったあのイチョウの木のように、強くたくましく、自分らしく生きていってほしいと思います。
(北松西・寺園美奈子教諭)

■一歩が二歩、三歩になり、大きな道に

私の脚のアキレス健がギューッと伸びたのは、皆が高2の遠足でのドッジボール中。切れなくてよかったです。東京への修学旅行、行けなくてごめんなさい。新型コロナの感染拡大で無理でした。高3の文化祭は展示の手作りゲームが好評で優秀賞。ダンスは各自の気持ちが一つになり、文化祭のステージ上で輝きました。明日からは卒業生20人、20通りの道を一歩ずつ進んでください。一歩が二歩、三歩になり、大きな道ができることを願いつつ。
(鳴滝定時制昼間部・平湯政敏教諭)

■人と人とのつながりが一番

コロナ禍での修学旅行が大阪から長崎に変更になりながらも、カステラや吹きガラスコップ作りに本気で挑戦し、長崎市内の観光地を巡った後、全員で卓袱(しっぽく)料理を食べ、仲良く野外活動もしました。その際に私は、皆のすてきな笑顔を見ることができ、「人と人のつながり」が一番大切であることを再認識しました。これから皆は「世の中」という広大な海に船出します。「人という灯台の光」を道標に船を進めてほしいと心から願っています。
(佐世保工業定時制・吉岡翼教諭)

■一生忘れられない存在に

初めて担任を持つ学級は、2週間の自宅待機から始まった。期待に胸を膨らませていたのもつかの間、顔もろくに覚えられないまま会えなくなった。だが、杞憂(きゆう)だった。そのうち半分とは3年間担任となり、むしろ一生忘れられない存在となった。制限が多い中でも前向きに努力した君たちは偉い。本校校歌から、このフレーズを贈りたい。「目指せ遥かを 夜明けの空を」。将来くじけそうなとき、思い出してほしい。はるか未来を見据えれば、夜明け空のようにまぶしいほどの希望が待っている。
(対馬・田島智弘教諭)

■3年間おつかれさま

入学後すぐの新型コロナウイルスによる一斉休校に始まり、無観客での学校行事や行き先の変わった修学旅行など、コロナに振り回された3年間でした。それでも、今年の観客を入れての文化祭は、全校生徒18人の手形アートの考案や、映像を利用した3年生の劇など、3年生の努力とアイデアが光った素晴らしいものになりました。3年間お疲れ様でした。個性豊かな8人が、それぞれの場所で活躍することをお祈りしています。
(宇久・大村寿教諭)

■全員がヒーロー

3年間を通じて、一歩一歩成長していった学年でした。コロナ禍の始まりとともに入学し、制限のある学校生活だったと思います。3年生となり、集団行動を下級生に示す姿に頼もしさを感じました。夏期学習会での進路実現に向けた真剣な眼差しを忘れません。そして集大成となる総合学科発表会では、「全員がヒーロー」であることを体現してくれました。一人ひとりが「素敵な大人」となっていくことを願っています。
(島原翔南・尾﨑一光教諭)

■皆が楽しそうに

この3年間でいったいどれほどの学校行事が中止され、短縮されただろう。2年次に皆が楽しみにしていた修学旅行は行き先も変更され、短縮された挙げ句、ついには中止に追い込まれた。楽しい思い出を残してやれなくてごめんね。3年次にコロナが落ち着いた頃に代替行事を企画した。日帰りの小旅行ではあったが、皆が本当に楽しそうにしていた…写真を見た。その日、出張で一緒に行けなくてごめんね。
(諫早東・大田弘志教諭)


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