コロナ禍の卒業生 教諭からの贈る言葉⑤

この3年間、生徒たちは新型コロナウイルス感染症の影響でたくさんの我慢を強いられ、これまでの「当たり前」がことごとく覆された。教諭たちも共に悩み、迷い、それでも精いっぱいに青春を送る教え子の笑顔に励まされてきた毎日を過ごした。長崎新聞は長崎県教委、長崎県学事振興課を通じ、県内の公私立の高校(定時制・通信制含む)、特別支援学校高等部の全108校に対し、教諭から生徒たちへ贈る言葉を募り、95通のメッセージが寄せられた。(掲載は順不同)

■誠実に、前向きに

「コロナという言葉は使わない」。卒業式で答辞を述べる生徒のこだわりです。数週間遅れの入学式で出会い、バタバタと日々が過ぎました。研修や行事、さまざまなことを削減・短縮した学年です。何かある度に「コロナで研修不足だったかな」と考えたこともありますが、誠実に、前向きに現実と向き合うことを生徒の皆さんから学びました。修学旅行で楽しく由布院を散策する姿、体育祭ではじける素顔、母校の思い出や故郷愛をいつまでも大切にしてください。
(壱岐・下條尚子教諭)

■笑顔も涙も全てが宝

「今やれることを精いっぱい」―。この一言に尽きる3年間でした。苦しい状況でも笑顔を絶やさず真摯に歌と向き合うみんなの姿に何度も救われました。だからでしょうか、たくさん辛い思いもしたはずなのに、なぜだか「楽しかった!」「頑張った!」という場面ばかりが思い出されます。笑顔も悔し涙も全てがかけがえのない宝物です。みんなとだから乗り越えられた3年間でした。本当にありがとう。これからも人生を「精いっぱい」謳歌してください。
(清峰合唱部顧問・本多志織教諭)

■まぶしすぎるくらいの輝きを

コロナ過真っただ中の高校生活でしたが、充実した高校生活を過ごせましたか?「なにも咲かない寒い日は下へ下へと根を伸ばせ」という言葉があるように、多くの苦悩があった3年間であっても、輝かしい未来を創るその土台はしっかりと踏み固められてきたはずです。我慢をしてきたその分まで、卒業したその先に、まぶしすぎるくらいの活躍をしてくれることを期待していますね。
(大崎・牟田拓朗教諭)

■最後までついてきてくれてありがとう

みんなの高校生活は、多くの場面で制限を受けてきた3年間でした。新任の私も先行きが分からない中、教員人生が始まりました。多くの対話を重ねてお互いに学びを深めた日々の授業、一緒に練習して本番では涙、涙だった合唱コンクールなど、制限など全く気にならなかったさまざまな出来事が思い出されます。未熟な私が与えられたことは少なかったと思いますが、最後までついてきてくれて本当にありがとう。今後のみんなの人生に幸あれ。
(長崎北陽台・栗原央明教諭)

■それぞれの道で活躍を

みなさんが入学した年は、本校が「日本で最もユニークな学校」を目指し、新世界三大言語である「英語」「中国語」「プログラミング言語」を学べる学校として新たに産声を上げた年でした。また、新しい学校づくりの一環として制服も他校にはないデザインに変更されました。実は、みなさんがその制服を身にまとい、街中の注目を集める姿を誇らしげに見ていました。みなさんがこれから進むそれぞれの道で活躍することを心から願っています。
(佐世保実業・堤龍哉教諭)

■心が一つになった体育祭

希望に胸を膨らませ大高坂を登った入学式から昨日まで、コロナ禍の青春(はる)の3年間でしたが、たくさんの思い出を残してくれました。休校措置や分散登校で学校生活を思うように過ごせない時期もありました。それでも、最高の笑顔を見せてくれた修学旅行や心が一つになった体育祭など学校行事の成功と共にいつしか思いやりのある学年に成長してくれました。75回生(緑)の誇りを大切に。みなさんの活躍を心から祈っています!
(大村・下川拓朗教諭)

■歴史の1ページ刻んでくれた

半世紀以上の長きにわたり愛されてきた制服が新しい制服に変わった年、皆さんは長崎女子商業高校に入学しました。思うように過ごせない日々の中でも、笑顔を忘れず、仲間たちと、学習、資格の取得、部活動などに前向きに取り組む姿は、真新しい制服にふさわしく、エネルギーに満ちあふれ、立派なものでした。「誠実」「勤勉」「清楚」の校訓の下、輝かしい歴史の一ページを刻んでくれた皆さんに感謝し、洋々たる未来を心より祈念致します。
(長崎女子商業・石垣務教頭)

■できることを楽しみながら

3年間の高等部生活を思い返して、どうでしょうか?新型コロナウイルスの影響で、授業が受けられないことで不安になったり、リモート開催の行事などさまざまなことが縮小されることへ憤りを感じたりと、それぞれがいろいろな思いの中で学校生活を過ごしたと思います。それでもみなさんは、この苦境を仲間と共に乗り越え、自らの進路を切り開いてきました。これからも自分と自分の周りにいる人を大切にして、できることを楽しみながら過ごしてほしいと思います。応援しています。
(桜が丘特別支援学校・石橋弘幸教諭)

■一度しかない人生、精いっぱい生きていこう

「生まれてきたくて生まれたわけじゃない」。夢も希望もなかった中学時代の口癖だ。そんな俺が吹奏楽と出会い、自分の存在意義を感じ「生まれたからには生きてやる」って思うようになった。「音楽一筋に生きる」って夢を掲げて、周囲に笑われながらも精いっぱい生きてきた。笑われたっていいじゃん、一度しかない人生だ、夢に向かって、決して諦めず、精いっぱい生きていこうぜ!どんな時でも、諦めさえしなければ、そこは夢の途中なんだ!お前らの夢、俺は絶対に笑わないぜ!
(佐世保東翔マーチング部顧問・中村明夫教諭)

■自分の花を咲かせて

高校生活のすべてをコロナ禍の中で過ごし、日々の学校生活で多くの制約を受け、もどかしさを感じたことでしょう。しかし、北斗祭のアンブレラスカイや地域との連携活動など、その折々に工夫を凝らし、乗り越える姿は輝いていました。諫商で身に付けた知識や技術、人間関係は皆さんの大きな財産になると確信しています。卒業後も諫商卒のプライドを持ち、自信を持って「自分の花を咲かせる」ことを期待します。頑張れ、諫商第67回生!
(諫早商業・吉田眞八教諭)

■入学式は制服間に合わず

いろんなことが制限されたこの3年間。入学式は制服が間に合わず、それぞれの中学校の制服での入学式でした。1年生の高総体は中止、体育祭や文化祭も縮小。高校生活最大のイベントとなる修学旅行ですら中止となり、我慢を強いられた3年間でした。しかし、そんな中で迎えた最後の高総体や体育祭等の学校行事では、これまでにない充実した笑顔を見ることができました。この3年間を糧として、更に活躍されることを祈念します。
(長崎総合科学大学付属・福島誠一郎教諭)

■鬱憤晴らすような笑顔に胸なで下ろし

1年越しの思いで行けた3年生12月の修学旅行。我慢を強いられた3年間の鬱憤(うっぷん)を晴らすかのような笑顔に胸をなでおろしていました。最初に訪れた浅草寺の本堂には「施無畏」の文字。これから社会に羽ばたく皆さんが、何事も恐れることなく挑戦し、活躍できることを願っています。厳しくも宝の友と乗り越えた3年間、これからも感謝と思いやりを忘れずに。いつでも母校に遊びに来てください。
(瓊浦・中別府芳郎教諭)

■いつかみんなで笑って話せる日が

入学式の延期に始まり、数々の学校行事が縮小・中止になるなど、我慢を強いられた3年間だったと思います。それでもみなさんが何事も笑顔で取り組んでいる姿に私たちは感動し、元気をもらいました。できないことだけに目を向けるのではなく、いろいろな制限の中でも頑張って乗り越えてきたことはみなさんの大きな成長につながったと思います。いつかこのことをみんなで笑って話せる日が来ればと思います。これから進学・就職と違う道を進むと思いますが、どうかみなさんが明るく幸せな人生を送り、元気に成長した姿を見せに来てくれるのを楽しみにしています。
(九州文化学園・松尾慎太郎教諭)

■人生を創るのは自分自身 

コロナ禍で、不自由で満足のいく学校生活ではなかったかもしれません。しかし、この3年間だったからこそ、得られたものもたくさんあったと思います。そして、友達や先生と過ごした時間は、他の何物にも代えることのできない宝物になってくれていると信じています。卒業を迎えた皆さんは今、とても輝いています。どんな環境でも人生を創るのは自分自身です。自分の信じる道をしっかり歩んでほしい。「玉成」の誇りを胸に高く大きく羽ばたいてほしい。迷ったり困ったりした時は、いつでも会いに来てください。未来ある若人たちへ―。
(長崎玉成・浦川真一教諭)

■この時代でしかできない経験

入学時からマスクを付け、最初から多くの制限がある高校生活の始まりでした。その中でも苦悩しながらできることを考えていき、この時代でしかできない経験を重ねながら、成長することができました。3年次には、修学旅行を含めこれまでできなかった行事を共に過ごし、思い出をつくることができましたね。この3年間の逆境を今後の力に変え、それぞれの道に向かって前向きに進んで行ってください。
(佐世保女子・安永一歩教諭)


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