熊谷で「焼き芋会」 里山保全兼ね、落ち葉と間伐材を使用 里山からのおいしい「ご褒美」に笑顔

焼き芋会でホクホクの芋をほおばる参加者たち

 埼玉県熊谷市吉岡地区にある「吉岡グランドワーク実行委員会」(堀喜久男会長)による里山保全活動を兼ねた「焼き芋会」が3年ぶりに開かれ、熊谷市立吉岡中学校PTAと生徒、地元住民、立正大学生ら約40人が参加した。

 同会は1999年に発足。熊谷市立吉岡中学校周辺の密集した籔(やぶ)林にごみの不法投棄が目立つようになり、生徒や住民の不安が募った。活動のきっかけは環境問題に取り組む熊谷市職員による自主研究グループが吉岡地区の企業数社と吉岡ボランティア団体あやめ会と里山再生構想を立ち上げたことだった。

 以来24年間、地元自治会役員が中心となり「吉岡グランドワーク実行委員会」を結成。春のタケノコ狩り、冬の焼き芋会など年間を通し楽しいイベントを開いている。堀会長は、「春にはケーンケーンと求愛で鳴くキジの姿も見られます」とにっこり。昨年は、里山の北側斜面に約100段の「遊歩道丸太階段」を設置。里山の周囲を走る埋もれた市道も整備し散歩道として人気もある。

 落ち葉と間伐材で炊き上げた熱々の焼き芋を頬張る立正大学の学生、白藤航矢さん(18)は、「除草や階段作りで美しくよみがえった里山ボランティアはやりがいがあります」。韓国人留学生のイスミンさん(21)は、「(焼き芋)甘い!おいしい。韓国にはない文化に触れられうれしいです」と笑顔を向けた。

 同会で発足時から尽力している中島洋次さん(70)は、「山桜を植樹したり、竹林の間引き伐採をしたり、落ち葉集めなど環境整備は人の力が必要です。中学生や大学生、世代を超えた協力と地元の皆さんの熱意で支えられています」と話していた。

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