ごみ箱に捨てた薬物を拾い、泣きながら使った―横浜で依存症学ぶ講座、体験者語る

講演する北里大の朝倉崇文助教=横浜市港北区の「横浜ラポール」

 薬物依存症への理解を深めるセミナーが26日、横浜ラポール(横浜市港北区)で開かれた。依存症者を抱える家族を支援するNPO法人「横浜ひまわり家族会」などが主催。オンラインと合わせて約200人が精神科医の講演や体験談に耳を傾けた。

 薬を使い始めたのは10代のころ、と話す40代の男性がマイクを握った。「みんなが当たり前のように使っていたのに自分だけが量をコントロールできなくなった」と明かした。トイレやシャワーに行くにも、薬がないと身体が動かなくなり「生きのびるには薬が必要だった」。

 裁判所で嗚咽(おえつ)する母の姿や、服役した3年間も「薬の前では無力」で、ごみ箱に捨てた薬を拾い泣きながら使ったこともある。自助グループの仲間に支えられて回復し、薬を使わなくなって9年がたった。「1人ぼっちでズタズタだったけど、仲間に愛されて回復していった。自分の経験が役立ててもらえればうれしい」と語りかけた。

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