「小さな食パン」蕨ブランド認定 国内最速で実る“わらびりんご”のシャーベット、マドレーヌ、ショコラも

蕨ブランドに認定された事業所などの関係者たち。前列中央に頼高英雄市長、右隣は審査委員で司会を務めた町亞聖さん=20日、蕨市役所仮庁舎

 「蕨らしいストーリーを持つ特産品」を「蕨ブランド」に認定している埼玉県蕨市は、新たに6品を認定した。市内で収穫されたリンゴでつくる「わらびりんごシャーベット」や障害者たちのパン工房が開発した「小さな蕨の小さな食パン」、市内の農家のユズを原料にしたマドレーヌなど多彩だ。

 認定式が蕨市役所仮庁舎で行われ、同市出身のフリーアナウンサー町亞聖さんが(51)が司会。頼高英雄市長は「蕨の素晴らしいものを全国や世界に発信していきたい」と話した。

 わらびりんごは同市錦町の農家・故吉沢正一さんが20年かけて開発した。日本で最も早く実るリンゴで、1981年に新種登録された。2009年から市制施行50周年記念事業として、市はわらびりんごを広める活動を取り組んできた。

 市民団体「わらびりんごの会」と農業者の生産管理団体の吉沢さんが、公民館や小学校など市内各地に残した原木の挿し木による普及活動を続け、毎年6月ごろには市内で千本を超える成木が実をつける。

 これまで「わらびりんごサイダー」が認定されているが、新たにシャーベットが加わった。サイダーは「大人の味」が売り。シャーベットは「初恋風味」をキャッチフレーズにした。サイダーもシャーベットも市内で収穫した実を秩父市の工場に委託して製造している。

 販売元でわらびりんごを育てる生産管理団体の奥田光由代表(73)は「市内で育てた渋柿で干し柿も作ってみたい」と夢を語った。

 食パンは、障害者の人たちが働く多機能型事業所「スマイラ松原」のパン工房が開発した。担当職員の小川貴広さん(35)は「双子織のようにきめ細かくて、ほんのり甘い味に仕立てた」と話す。川口市の鋳物工場「モリチュー」が制作した蕨市のマスコット「ワラビー」の焼き印を押した。

 マドレーヌは錦町の農家山下民子さん宅の庭のユズが原料。約40年前に生まれた長男と次男の誕生祝いに植えた2本が毎年秋に実る。収穫した実を川口市芝園町の障害者工房「晴れ晴れ」がマドレーヌに仕上げ、蕨市の「あぶらび」で販売している。

 ほかにカルラ社の「双子織ヘアバンド」、フレル社の「わらびもちショコラ」、オルアージュ社のオリジナルトートバッグが認定された。

© 株式会社埼玉新聞社