つなげ

 個人的には冬場の体育の時間のツラい思い出ばかりだが、長距離走や駅伝の魅力については何回もこの欄に書いた。例えば、一歩進むごとにほんの少しずつ、しかし確実にゴールが近づいてくること、仲間の到着を合図に走り出して、仲間の待つ中継所をひたすら目指すこと▲元気な人たちが登場する記事は何だか元気が出る…と当たり前の結論の周りをうろうろしながら、記事を2度ずつ読んだ。諫早市で一昨日、郡市対抗県下一周駅伝の代替大会が開かれた▲「県下一周」は新型コロナの流行で3年続けて中止を余儀なくされた。紙面には、大会の開催を待ち望んでいたランナーたちの熱があふれている。末の双子の快走を喜ぶ4人きょうだいの笑顔がいい。小学生の子から母へのリレーがいい▲あっという間に終わった、もっと走りたかった、と小学生ランナーのコメントにあった。1秒でも早い方がいいのは分かっているけれど、もう少し長く走っていたい…どこかで読んだ覚えのある“長距離あるある”の入り口に立つ彼▲大会のスローガンは「~つなげ!~」。感嘆符付きのメッセージを前後で挟んだ「~」が、風に揺れるたすきに見えるのは考えすぎか、狙い通りか▲日曜日はカリッと晴れた青空だった。2月はきょうまで。すぐそこに春が来ている。(智)


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